記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンDは日光を浴びることで、ある程度体内につくることができます。今回はその理由や紫外線対策をしながらビタミンDをつくるポイントなどをご紹介します。
食べものでは、主に魚類やきのこ類からビタミンDを摂取することができます。しかし日光を浴びることでも、体内にビタミンDをつくることができると考えられています。人間の皮膚の下にある皮下脂肪にはコレステロールの一種が含まれ、このコレステロールが紫外線に当てることによって、ビタミンDを作ることができるのです。
1日に必要となるビタミンDの目安量は15µg以上とされ、そのうち食品から摂る量は5.5µg程度とされています。そのため、残りの10µgは日光によって体内でつくる必要があると考えられます。ビタミンDをつくるのに必要となる紫外線の量は時間帯や個人によって異なりますが、夏の場合には15~30分程度日光に当たると良いといわれています。
ビタミンDは特に20~40歳代の方に不足しているといわれています。加えて、男性では約1/3、女性は約1/2が不足しているという報告もあります。不足している背景として、主に日焼け止めの使用が考えられます。
また高齢者も約8割がビタミンD不足というデータもあります。これは高齢に伴う皮膚でビタミンDをつくり出す能力の低下や、屋外での活動が減少することなどが原因として考えられます。
日光を十分に浴びない、または何らかの病気によりビタミンDが欠乏することで「ビタミンD欠乏症」を生じ、筋肉や骨が弱くなるといわれています。またビタミンDの不足によってカルシウムの体内への吸収率も下がるため、「低カルシウム血症」を引き起こす場合もあります。
小児は骨の成長障害、足の骨が曲がる、姿勢が悪くなることなどもあります。また特に妊婦や授乳中の人は、骨がやわらかくなる骨軟化症になることがあります。肥満傾向にある方、高齢者、更年期以降の女性は特に注意しましょう。更年期を迎えて閉経すると、女性ホルモンの分泌が減少して骨粗しょう症になる恐れがあります。骨粗しょう症で骨が弱くなった場合、骨折しやすくなる、寝たきりになりやすくなるなどの要介護につながる可能性もあります。
WHO(世界保健機関)は日光浴の目安として、顔や手足には週に2~3回が適切とされています。紫外線からのダメージを抑えた上で日光浴をする方法としては、主に以下のようなものが考えられます。
日傘や帽子、皮膚の露出を抑えた長袖などを着用することなどで、皮膚に当たる紫外線の量を減らすことができます。また外出の際は日陰を利用して、肌を休めることもいいかもしれません。ただし太陽から降り注ぐ紫外線は防げても、大気中に散乱している紫外線は防ぐことができないので注意しましょう。
日焼け止めの表示でよく目にする「SPF」とは、短時間に急性の炎症などを引き起こすUVBの防止効果を表し、数値が高いほど高い効果が期待できます。また「PA」とは、長時間にわたって肌の弾力を失わせるUVAの防止効果の程度を表し、+、++、+++、++++の4段階で示されます。+が多いものほど、UVAを防止できる効果が高くなると考えられています。レジャーなどで長時間炎天下にさらされる場合にはSPFやPAが高いものを選ぶなど、用途によって使い分けましょう。
日光浴は散歩やウォーキングなどで行うのがいいでしょう。海岸で日光浴などは必要以上に紫外線を浴びる可能性があるため、避けた方が無難でしょう。
ビタミンDが不足すると、骨や筋肉が弱くなるなどの影響が出る場合があります。適度に日光浴を取り入れながら、ビタミンD不足にならないように過ごしましょう。