夏風邪の原因となるウイルスはひとつだけじゃないの?

2019/6/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

夏は冬に次いで、風邪を引き起こすウイルスが蔓延しやすくなると言われています。そんな夏風邪を引き起こすウイルスには、どのような種類があるのでしょうか。今回は、辛い夏風邪の原因となるウイルスの種類や特徴、そしてウイルス以外と有効な予防対策について、まとめて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

夏風邪の原因となるウイルスは?

夏風邪を引き起こす代表的なウイルスとして、「アデノウイルス」と「エンテロウイルス」の2種類があります。また、アデノウイルスには約50種類、エンテロウイルスにも複数の型があり、感染によって起こる症状も異なります。どのウイルスにかかるかによって、さまざまな夏風邪の症状が起こる可能性があるのです。

夏風邪のウイルスの特徴は?

ここでは、夏風邪を引き起こす代表的なウイルスである「アデノウイルス」と「エンテロウイルス」、それぞれの特徴を見ていきましょう。

アデノウイルスの特徴

プール熱(咽頭結膜熱):1~5歳の乳幼児を中心に引き起こす
代表的な症状:発熱、喉の痛み、扁桃腺の腫れ、目やに など
流行性角結膜炎:乳幼児から成人まで幅広い世代に引き起こす
代表的な症状:目のむくみ、充血、まぶたのむくみ、涙、さらさらした目やに など

エンテロウイルスの特徴

手足口病:~3歳の乳幼児を中心に引き起こす
代表的な症状:38~39度の高い発熱、手のひら・足の裏・口の中などへの5~7mmの水泡ができる
ヘルパンギーナ:0~4歳の乳幼児を中心に引き起こす
代表的な症状:発熱、上顎の奥や喉に1~数mm程度の小さく赤い水疱ができる

冷房のかけすぎも夏風邪の原因って本当?

熱中症を防ぐために冷房をかけ続けていると、のど・鼻の粘膜の乾燥や、屋外と室内との温度差で自律神経の働きが乱れます。その結果、免疫力が低下して夏風邪を引きやすくなります。

夏風邪の原因となるウイルスは、いずれも高温多湿を好む性質があるため、免疫力低下によって夏風邪を発症しやすくなるのです。

ウイルス感染を防ぐには?

原因ウイルスへの感染を防ぎ、夏風邪を予防するには、冷房の使い方・当たり方と普段の生活に、免疫力を高める工夫を取り入れるのが効果的です。以下に、夏風邪にかからないための冷房の使い方と免疫力を高めるコツをご紹介します。

夏風邪予防に効果的な、冷房の使い方・当たり方

  • 26~28度くらいを設定温度とし、外気温との差を小さくする
  • 冷気が直接体に当たらないよう、風向きを調整したり、扇風機で冷気を循環させる
  • 温度設定を自分でできない場所では、上着で体温調整する

夏風邪予防に効果的な、免疫を高める生活のコツ

  • 外出先から帰ってきたときの手洗い、うがいは習慣化しておく
  • 目の粘膜についたウイルスを洗い流すため、目薬も行う
  • 寝室でのウイルスの繁殖を防ぐため、布団に除湿シートを強いておく
  • 夏風邪の感染や長引くことを防ぐため、寝室ではダニ対策も行う
  • 自律神経の影響を受けやすい腸を冷やさないため、タオルケットなどでおなかを温める
  • 熱くても、体を冷やす冷たい飲み物や食べ物、アルコールを摂りすぎない
  • 体力をつけ免疫力を落とさないために、普段から睡眠は十分にとる

夏風邪を予防するには、暑くなってからの冷房の使い方とあわせて、普段から体を労わった生活を送ることが大切だと理解しておきましょう。

おわりに:夏風邪の主な原因ウイルスは、アデノウイルスとエンテロウイルスです

夏の風邪を引き起こす代表的なウイルスは、アデノウイルスとエンテロウイルスの2種類です。それぞれ数十種類もの型があり、感染するウイルスの種類・肩によって、発熱や喉の痛みの他にも手足や口内の水泡など、さまざまな症状を引き起こします。一方で、冷房による体の冷えや喉や鼻粘膜の感想、自律神経の乱れによる免疫力の低下も、夏風邪の一因となります。普段から免疫力を高め、夏風邪を引かないよう予防しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

アデノウイルス(16) エンテロウイルス(13) 夏風邪(11) 夏風邪予防(3)