1日あたりのEPA摂取量ってどのくらい?効果的に摂るコツは?

2019/7/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

血液をサラサラにする成分として知られているEPAは、エイコサペンタエン酸と呼ばれる物質です。この記事では、EPAの働きとともに、1日にどのくらい摂ればいいのかや、EPAを効率よく摂るコツをご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

EPAの摂取量が減ると動脈硬化のリスクが高くなる?

EPAという略称で知られる「エイコサペンタエン酸」は、サバやアジ、イワシなどの青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸のひとつです。「必須脂肪酸」と呼ばれる成分のひとつで、体内でほとんど作ることができないため、食事などから補給する必要があります

EPAは血液をサラサラにし、中性脂肪値を下げる効果が期待されています。しかし、日本人の食生活の変化や魚の漁獲量の減少などが理由で、日本人のEPA摂取量が減少するにともない、脳梗塞や心臓病、動脈硬化などの血液・血管の不調で起こる病気が増加しているともいわれています。

動脈にはもともと弾力性があり、間の内壁はなめらかですが、コレステロールが溜まると血液の流れが悪くなってしまうのです。これが進行すると、血管が傷ついて破れたり、動脈瘤による血流の悪化が起こったりします。

その結果、その動脈の先にある臓器が影響を受けて機能低下を招き、様々な重篤な病気が引き起こされることになるのです。血液・血管の健康のためには、EPAを積極的に摂取することが大切だといえます。

1日あたりのEPA摂取量の目安は?

それでは、一体どれぐらいの量のEPAを摂ればいいのでしょうか?厚生労働省が示す摂取基準では、EPAと、同じように青魚から摂取できるn-3系脂肪酸であるDHAを、あわせて1日に1000mg以上摂るのが望ましいとされています。

これらを食品で摂るには、やはりイワシやサバ、マグロなどの青魚を積極的に食べる必要あります。具体的には、サンマの焼き魚で約1尾、小型のイワシの焼き魚なら約2尾、マグロの刺身で4~5切れ、ブリの刺身で6~7切れは必要になります。肉食が中心の現代人の生活の中では、なかなか難しい量のように感じるかもしれません。

EPAを効果的に摂取するコツは?

EPAやDHAの毎日の摂取がなかなか難しい理由として、日本人の食生活の変化があります。魚は肉に比べて調理を手間だと感じる方も多く、現代では毎日用意するのが難しいと思います。また、頻繁に刺身を買うのも家計の負担になると感じる方もいるかもしれません。

さらに、EPAとDHAがもつ性質そのものにも、効率的に摂取しにくい理由があります。実は、EPAとDHAは酸化しやすい成分であり、すぐに壊れて劣化しやすいのです。調理をすることでも成分が魚から流れ出てしまうため、食事のために調理すると成分を効率的に摂れなくなってしまいます。

具体的には、煮物で約20%、揚げ物で約50%も減少してしまうので、なるべく生で食べるとよいでしょう。特に、魚に脂がのっている旬の時期に獲れたものだと、さらに多くのEPAやDHAを摂ることができます。煮込んだり、蒸したりした場合は、その煮汁の中に脂が溶けだしているため、煮汁もいっしょに食べることでDHAやEPAを摂取することができます。

また、もし魚を食べるのが苦手な場合は、エゴマ油やアマニ油などもおすすめです。一部が体内でEPAやDHAに変換されるα-リノレン酸という成分が含まれているため、直接EPAやDHAを摂れない場合には有効でしょう。さらに、現在は、EPAやDHAのサプリメントなども販売されているため、そちらを選択肢に入れてみるのも一案です。

おわりに:旬の生魚などを積極的に食べ、EPAとDHAをあわせて1000mg摂りましょう

EPAという略称で知られる「エイコサペンタエン酸」は、体内でほとんど作ることができず、食事などから補給する必要があります。サバやアジ、イワシなどの青魚に多く含まれており、これらをできるだけ食べることが大切ですが、酸化しやすいという特徴をもっているため、注意が必要です。焼いたり揚げたりすることで成分が逃げてしまうので、なるべく脂ののった旬の魚を生の状態で食べるようにしましょう。

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