記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/4/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンKは骨粗しょう症の予防に役立つビタミンで、和食を食べる機会が多い日本人は不足しにくい栄養といわれています。高齢者など、ある程度の年齢を過ぎると摂取量に気をつける必要がありますが、薬との飲み合わせもあるため注意が必要です。この記事では、ビタミンKの働きと豊富な食べもの、摂取量の目安と摂取時の注意点について解説します。
ビタミンKは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンの一種で、食品から摂取されるビタミンKと体内でつくられるビタミンKがあります。体内では、おもに腸内細菌がビタミンKをつくっています。
ビタミンKの主な働きは血液凝固です。血液凝固には、肝臓で生成されるプロトロンビンという血液凝固因子が必要ですが、プロトロンビン生成のときにビタミンKが補酵素として働きます。体内のビタミンKが不足するとプロトロンビンも減少してしまうため、血液凝固が速やかに行われず、止血まで時間がかかります。
また、ビタミンKは、骨に存在するたんぱく質オステオカルシンを活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促します。ビタミンKは骨の健康維持にも役立ち、骨粗しょう症の治療薬としても使われています。
ビタミンKは、発酵食品、豆類、肉類、緑黄色野菜、海藻類などに多く含まれ、発酵食品のなかでも納豆はビタミンKがとくに豊富です。ビタミンKは脂溶性ビタミンですので、油と一緒に摂取すると体内での吸収率が上がります。炒め物やオイルドレッシングを使用して摂取するのがおすすめです。
ただし、血液の抗凝固薬を飲んでいる人は注意してください。納豆や緑黄色野菜に含まれる豊富なビタミンKが、抗凝固剤の効き目を抑えてしまいます。抗凝固薬を使用している場合は、医師や薬剤師から説明がありますので、しっかりと聞いておきましょう。
体内のビタミンKが不足することはあまりみられません。ビタミンKはさまざまな食品に含まれ、体内でも生成されているため、一般的な食生活を送っている健康的な人であればビタミンKは十分な量が保たれています。ただし、新生児や高齢者はビタミンKが不足することがあります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、現在のところビタミンKに摂取量の上限は定められていません。ビタミンKの摂取量の目安は年齢によって異なりますが、18歳以降の男女の目安量は同じです。妊娠中、授乳中の女性の目安量などもあわせて、以下に一覧を掲載します。
健康的な食生活を心がけていればビタミンK欠乏になることはあまりありませんが、新生児や高齢者の食事など、気になることがあるときは医師に相談してください。
男性 | 女性 | |
0〜5か月 | 4 | 4 |
6〜11か月 | 7 | 7 |
1~2歳 | 50 | 60 |
3~5歳 | 60 | 70 |
6~7歳 | 80 | 90 |
8~9歳 | 90 | 110 |
10~11歳 | 110 | 140 |
12~14歳 | 140 | 170 |
15~17歳 | 160 | 150 |
18~29歳 | 150 | 150 |
30~49歳 | 150 | 150 |
50~69歳 | 150 | 150 |
70歳以上 | 150 | 150 |
妊娠中 | – | 150 |
授乳中 | – | 150 |
ビタミンKは、血液と骨の健康維持に欠かせない栄養素です。通常の食事をきちんと摂取していればビタミンKが不足することはほぼありません。ただし、新生児と高齢者はビタミンK欠乏による不調が現れることがあります。また、血液の抗凝固薬を服用している方は、食べ合わせに注意が必要です。不安や不明点がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。