記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/2/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に、油分をたくさん摂るのは体によくないイメージがあります。でも、詳しく調べてみると、体によい油とそうでない油があることがわかります。この記事では、油(脂肪酸)の種類やメリット・デメリットについて解説します。
脂肪は、生物のからだに含まれる栄養素のひとつです。その脂肪の大部分を占めている成分が脂肪酸です。脂肪酸は体内で分解される過程でエネルギーをつくりだします。
脂肪酸をおおまかに分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。不飽和脂肪酸は、化学的な構造の違いから、一価(単価)不飽和脂肪酸と、多価不飽和脂肪酸に分けられます。一価不飽和脂肪酸であるオメガ9(n-9)系脂肪酸、多価不飽和脂肪酸のうちオメガ3(n-3)系脂肪酸、オメガ6(n-6)系脂肪酸は、健康面への良い効果が注目されています。
飽和脂肪酸は、肉の脂身やベーコン、ハム、バターなど、動物性の脂に多い脂肪酸です。また、人間の体内で合成もされています。
飽和脂肪酸には常温で固まりやすい性質があります。飽和脂肪酸を摂りすぎると、血液中にコレステロールや中性脂肪が増えて血液の流れが悪くなります。
血液には、全身の細胞に酸素や栄養素を運ぶという役割があります。血液の流れが滞ることで、全身に十分な酸素や栄養が運ばれなくなったり、血管が硬く柔軟性が失われていく動脈硬化が進行したり、心筋梗塞になったりすることが心配されています。ただし、近年の研究では飽和脂肪酸の摂取量が少なすぎることも、健康への影響があるのではないかという報告もみられます。
不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂に由来する脂肪酸です。一価(単価)不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸にわけられます。
一価不飽和脂肪酸の代表的なものとして、オレイン酸があります。オリーブオイルや菜種油といった植物油脂に多く含まれており、体内で合成もできる脂肪酸です。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らすという働きがあります。
一方、多価不飽和脂肪酸は、オメガ6(n-6)系とオメガ3(n-3)系に分けられます。体内で合成できないため、食事で摂ることが必要です。
不飽和脂肪酸に比べると、飽和脂肪酸は水素が多い構造をしています。炭素(C)がしっかりと水素と結合しているため、化学的には安定した状態といえます。
一方で、不飽和脂肪酸は、炭素二重結合という構造を1つ以上持っており、化学的には不安定な脂肪酸です。そのため、飽和脂肪酸に比べると不飽和脂肪酸は分解されやすく、細胞や情報伝達物質の材料として使われます。
不飽和脂肪酸は、二重結合の数によって、単価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸は、コレステロールの値や血圧を下げたり、血液をサラサラにするといった身体に良い作用がありますが、摂取量や調理方法や保存方法については、それぞれの脂肪酸に合わせる必要があります。
たとえば、えごま油やアマニ油などに含まれる多価不飽和脂肪酸は、熱や光、空気に触れることで、血管や臓器の細胞を傷つける過酸化脂質に変化するため、かえって健康に良くありません。そのため、加熱調理ではなく、ドレッシングのようにそのまま食べるほうが向いています。
脂肪は、脂肪酸という成分が大部分を占めています。脂肪酸はさまざまなものがありますが、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸は、植物や魚の脂を由来とした脂肪酸で、人間が合成できず食べて摂るしかないものもあります。血液をサラサラにしたり、コレステロールを低下させるなど、健康への良い影響が知られていますが、誤った調理方法や摂り過ぎは、悪影響となることもあるため注意が必要です。