記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2022/2/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンEはナッツ類や油に多く含まれている脂溶性ビタミンで抗酸化作用があります。美容目的でサプリメントを利用している人もいると思いますが、どのような効果があるかご存知でしょうか。
この記事では、ビタミンEの働きや不足したときの影響、1日あたりの摂取量の目安と効率の良い摂取方法について解説していきます。
「ビタミンE」は、「トコフェロール」ともよばれる油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、強力な抗酸化作用があることからエイジングケアに役立つビタミンとして知られています。
ビタミンEは、ビタミンCとともに、活性酸素(通常より活性化された状態の酸素で酸化や老化を促す要因となる)から細胞を守り、ビタミンAやカロチノイドなど、ほかの抗酸化物質の酸化も防ぐことで細胞の老化を防ぎます。また、以下の病気や不調の予防、緩和に役立つといわれています。
ビタミンEが不足すると、体内で酸化や老化が進み、以下の不調や病気のリスクが高まる原因になります。
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日当たりのビタミンEの摂取の目安量(一定の栄養状態を維持するのに十分な量)は18歳以上の男性で6.5mg、18歳以上の女性で6.0mgと設定しています。平成27年度国民健康・栄養調査によると、日本人の1日の平均摂取量は女性6.4mg、男性6.9mgになっています。
ビタミンEを過剰摂取することで起こる「ビタミンE過剰症」では、血液が止まりにくくなるなどの症状が現れます。ただし、ビタミンEは体内に蓄積する脂溶性ビタミンではありますが、比較的蓄積しにくく、他の脂溶性ビタミンに比べると毒性が弱いため、過剰症は起こりにくいです。
基本的に食事からの摂取でビタミンE過剰症が起こることはありませんが、サプリメントなどで極端に過剰摂取すると、何らかの不調が起こる可能性があります。ビタミンEの1日当たりの上限量は、女性の場合は18~29歳で650mg、30~69歳で700mg、70歳以上で650mg、男性では18~29歳で800mg、30~49歳で900mg、50~69歳で850mg、70歳以上で750mgとされています。サプリメントは必ず用量、用法を守って使用しましょう。
ビタミンEは、ナッツ類や、植物油に豊富に含まれています。ナッツ類であればアーモンドやヘーゼルナッツ、植物油であれば小麦麦芽油、ひまわり油、綿実油などが手に入りやすいです。そのほか、ウナギやタラコ、アンコウの肝をはじめとした魚介類、大豆、穀類(米、小麦など)、緑黄色野菜、西洋カボチャやアボカドなどにも多く含まれています。
なお、ビタミンEは、ビタミンA、ビタミンCとともにとることで、細胞膜、体液中それぞれで活性酸素の影響から体を守りやすくなります。緑黄色野菜を植物油で炒めるなどして一緒に摂るのがおすすめです。
ビタミンEは酸や熱に強いため調理によって失われてしまうことはほとんどありませんが、光に弱いため、食品を保存する際には光を避ける必要があります。
ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、強力な抗酸化作用で身体の細胞を活性酸素から守るほか、細胞を柔軟化して末梢血管を広げ血液循環を促したり、脂肪の酸化を防いだりすることで、生活習慣病の予防に役立ちます。1日の摂取量の目安は、18歳以上の女性で6.0mg、男性で6.5mgで、食事だけでも十分摂取できる量です。子どもから高齢者・シニアまでの健康づくりに役立つビタミンなので、ナッツ類、植物油、魚介類、大豆、穀類、緑黄色野菜、西洋カボチャ、アボカドなどを食事にうまく取り入れましょう。ビタミンEは過剰症が起こりにくいビタミンではありますが、サプリメントの過剰摂取には十分注意してください。