記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
不眠はさまざまな理由から、夏に引き起こしやすくなるといわれています。そこで今回は夏の不眠の原因や対策などをご紹介します。
夏に不眠となる原因としてまず考えられるのが自律神経の乱れです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれがバランスを取りながら、呼吸や体温、心拍数など体のさまざまなはたらきをコントロールしています。現代人はストレスが多いため、交感神経が過剰にはたらきやすく、自律神経が乱れやすくなるといわれています。そのため、疲れが取れない、胃腸の調子が悪くなるなどの症状のほか、夜眠れなくなることがあります。
夏に自律神経が乱れる原因として、主に以下の3つが考えられます。
夏は紫外線の量が年間を通して最も多い時期です。夏は紫外線により、疲労のもとである活性酸素が体内でつくられます。また、紫外線は日陰などでも地面に反射して体に届くため、意識していないところで紫外線を浴びている可能性があります。
自律神経には汗が蒸発する際、周囲から熱を吸収して体温を一定に保つはたらきがあります。夏は大量に汗をかくため、自律神経は常に働く必要があります。しかし、夜、寝ている間なども暑くて発汗をしていると自律神経は眠っている間も動き続けなければならず、休む間がないため、疲れやすくなるといわれています。
夏は朝晩と日中に寒暖差があり、朝の早い時間帯と日中の昼下がりには気温に差がみられます。また室内と屋外はもちろん、室内でも上半身と足元で感じる温度には差があるといわれています。下の方に冷たい空気が溜まるため、仕事などで冷房の効いた場所にいると足元の冷えに悩む人もいるでしょう。上半身が暖かく、下半身が冷たい場合には、体がのぼせた状態につながりやすいといわれています。自律神経はこのような温度変化に対応しなければならないため、疲れが溜まりやすいといえるでしょう。
自律神経が乱れやすい人には、以下のような特徴がみられます。
睡眠時には、以下のようなことに気をつけましょう。
眠っている間に汗をかくと、就寝中も自律神経が休まずはたらいていることになり、疲れにつながると考えられます。夜寝ている間はエアコンで温度や湿度を調整し、快適に眠れるように環境を整えましょう。またタイマーにすると切れた後に温度が上昇するため、朝までつけっぱなしにしておくのもひとつの方法です。ただし、体が冷えすぎるのを防ぐために、エアコンの風が直接体にあたらないように設定する、温度は普段よりも0.5~1度くらい高くするなど工夫しましょう。
熱いお湯につかると、自律神経が疲れやすくなるといわれています。しっかりと睡眠をとるためには、5~10分程度、38~40度くらいのお湯で体を温めるのが効果的です。眠るときには手足を通して外へ熱が逃げることで、体の中の温度である深部体温が下がります。このときに深部体温が下がるほど深い眠りにつきやすいと考えられています。ぬるめのお湯は深部体温を上げることができるため、眠りにつく頃には深部体温が下がってより深い睡眠をとりやすくなるといわれています。
自律神経を整えるためには、以下のように朝の過ごし方もポイントです。
人には一日のリズムをつくっている体内時計が備わっています。この体内時計がはたらくことにより、自律神経のはたらきも整うといわれています。体内時計はある程度決まった時間に朝食をとることで調整することができるため、一日のリズムが整い、夜に眠気を誘うことができるます。
質の良い睡眠をとるためには、睡眠ホルモンである「メラトニン」が脳から分泌される必要があります。そのためには起床後に日光を浴びて「セロトニン」が分泌させましょう。日光を浴びた14~16時間後に、セロトニンがメラトニンに変化するといわれています。夜寝る前にカーテンを少し開けて寝る、起床後にカーテンを開けるなどして、朝起きたら太陽の光を浴びられるような環境を整えましょう。
暑さや体温調節の難しさなどにより、夏は自律神経が乱れがちになります。朝ごはんをしっかり食べる、就寝中はエアコンをつけて快適な環境で眠るなど、生活を見直してみましょう。