女性ホルモンの働き −減ったときの症状と対策−

2022/10/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

女性ホルモンは、女性らしい体つきや性機能、特有の周期による体調の変化や月経をもたらす性ホルモンのことです。今回は女性ホルモンについて、その働きや体への影響、減少することに伴う症状について、改めて学んでいきましょう。

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女性ホルモンとは

女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があります。いずれも、基本的には女性特有の臓器である卵巣で分泌されるホルモンです。

女性ホルモン:エストロゲンの働き
肌や髪を保湿し、女性の丸みを帯びたボディラインを作り出す女性ホルモンです。骨密度や記憶力・集中力にも影響し、女性の全身の健康に作用します。また、自律神経にも働きかけるため、精神状態にも影響を与えます。
女性ホルモン:プロゲステロンの働き
周期的に体温を上げ、子宮内膜を整えるなどして、妊娠とその維持を司る女性ホルモンです。乳腺を発達させ、体に水分を溜めようとする作用もあり、月経周期に伴う女性の体の変化に大きくかかわっています。

女性ホルモンが少なくなると、体調にどんな変化がみられる?

女性ホルモン、特に女性らしいボディラインや髪・肌の質感を作っているエストロゲンは、思春期にあたる二次性徴の時期に分泌量が増え始め、20代後半~30代前半をピークに、加齢と共に徐々に分泌量が減っていきます。個人差もありますが、多くの女性が閉経を迎える45~55歳までの間に、卵巣の中の細胞が減って女性ホルモンの分泌量は激減するのです。年齢とともに体内の女性ホルモンの分泌量が少なくなると、以下のような「更年期症状」がみられるようになります。

身体症状

  • のぼせ、ほてり、多汗、冷え、動悸、息切れ
  • 食欲不振、吐き気、便秘、下痢、腹部膨満感
  • 肩こり、腰痛、筋肉痛、関節痛
  • 慢性的な倦怠感、疲労感
  • 月経異常、頻尿、残尿感、尿失禁
  • 性器の下垂感、外陰部のかゆみ
  • 皮膚や粘膜の乾燥、皮膚湿疹
  • 頭痛、めまい、耳鳴り              など

精神症状

  • 判断力、集中力の低下
  • 不安感による不眠、抑うつ気分
  • 物忘れ                   など

減っていく女性ホルモン、対策は可能?

加齢による女性ホルモンの減少に伴う更年期症状は、食事や睡眠習慣の改善である程度コントロールすることが可能です。下記でポイントをご紹介します。

栄養バランスの良い食事を心がける

糖質と脂質を抑え、肉や魚・豆類などのタンパク質をメインに、野菜、少量の炭水化物を油を摂取できる、和食中心のバランスの良い食事を心がけてください。特に、納豆などの発酵食品のほか、ネギ、ゴボウ、バナナなどでオリゴ糖や食物繊維を多く摂って腸内環境を整えると、女性ホルモン量もコントロールしやすくなります。

質の高い睡眠を十分に取る

睡眠の質が落ちると、女性ホルモンの分泌に影響します。毎日7時間睡眠を目標に、睡眠時には以下を実践して睡眠の質を上げていきましょう。

  • 体がしっかりと休息できるよう、就寝の2時間前までに食事を終える
  • 入浴は就寝予定の1時間前までに、ぬるめのお湯で済ませておく
  • 寝る直前のスマホ利用は控えて、1時間前には照明を薄暗くしておく

おわりに:健康的な生活習慣が、ホルモンバランスを整える第一歩!

こまめに体を動かすことによる血行と代謝の促進や、趣味や新しいことに取り組んだときのワクワク感も、女性ホルモンの分泌に良い影響をもたらします。心身の健康のために、できることから生活のなかに取り入れてみましょう。

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