記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/7/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
冬になると「ヒートショックから身を守ろう」といった話題を耳にする機会が増えます。これは、寒暖差によって血圧が上昇したために心臓疾患といった症状がみられるものですが、この状態は夏に起こる可能性があります。この記事では、夏に血圧が上がる仕組みを解説するとともに、対策も紹介します。
血圧の上昇は季節も関係しています。冬になると、「暖かい部屋から寒い浴室に行って裸になったときに血圧が高くなりやすい」という話を聞くと思いますが、実は夏にも同様のことが起こるのです。
血管は、温かいところから寒いところに移動したときに収縮します。そのため、猛烈に暑い屋外から、冷房の効いた室内に入ると、冬と同じ反応が起こります。この温度差による血管の収縮が、心筋梗塞の原因になるのです。
さらに、発汗が活発になることも原因のひとつです。体の水分が不足すると血流の流れが悪くなり、血管の詰まりや血圧の上昇が起こりやすくなります。
夏の高血圧を予防するには、血管の収縮を引き起こす原因ともなる温度差をなくすことが大切です。室温を下げ過ぎないよう冷房を設定するとともに、会社やお店など、自分で空調が制御できない場所ではカーディガンなどの羽織ものを着用しましょう。また、温度設定が低いまま寝てしまうと、寝ている間に血圧が上がることがあります。タイマーを設定したり、扇風機の首振り機能などを活用したりして、血圧上昇を防ぎましょう。天気予報をチェックし、天候による気温差に注意を向けておくことも大切です。
発汗による高血圧上昇を防ぐには、やはりこまめな水分補給が欠かせません。2時間おきにコップ1杯程度飲むのが目安ですが、屋外などで活動をしている人はそれ以上飲む必要があります。水やカフェインの少ないお茶がおすすめですが、運動などで汗をたくさんかいた場合は、ナトリウムが含まれているスポーツドリンクなども取り入れてください。
そのほかの対策として、1日に30分程度、ウォーキングなどの有酸素運動を週に3回ぐらい取り入れることや、塩分を控えた食事を心がけることも大切です。特に、高血圧気味の人は1日6g未満の摂取が望ましいので、減塩を意識しましょう。
さらには、毎日の血圧測定もおすすめです。家電量販店などに行くと、自宅で血圧を測ることができる血圧計も販売されています。病院で測定すると、緊張から高い数値が出やすい傾向がみられますが、リラックスできる自宅で決まった時間帯に測定すると、より正確な血圧の値を知ることができます。健康診断などで血圧が高めに出た人は、自宅でも血圧を測定する習慣をつけましょう。
屋外での作業や運動で大量に汗をかくと、水分とともに血液中のナトリウムやカリウムが出ていってしまいます。そたのめ、スポーツ選手などはスポーツドリンクや経口補水液などで、塩分・ミネラルを補給するようすすめられています。
ただし、特別激しい運動をしていない人の場合、あえて塩分を摂る必要ありません。特に、高血圧気味の人は減塩が欠かせません。熱中症対策にのためといって、こうした飲み物を摂りすぎないようにしましょう。
血管は、温かいところから寒いところに移動したときに収縮します。そのため、夏に、猛烈に暑い屋外から冷房の効いた室内へと入るときに高血圧になりがちです。冷房の効いた室内に入るときなどは温度調節ができるもの(カーディガン、ストールなど)を身につけましょう。また、こまめな水分補給やウォーキングなどの軽い運動、減塩を心がけた食事、毎日の血圧測定などもおすすめです。