記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
私たちの体を流れる体液には、大きく分けて血液とリンパ液の2種類があります。リンパは私たちの体に対し、どのような役割を担っている器官なのでしょうか。今回はリンパとは何か、リンパ管・リンパ節・リンパ系と呼ばれるものの仕組みや役割について、まとめて理解していきましょう。
リンパとは、リンパ液と呼ばれることもある無色の液体です。小腸をはじめ、全身の臓器や組織のすきまに存在します。その流れは心臓のようなポンプではなく、筋肉の収縮や呼吸による圧力で発生しているため、非常にゆっくりです。
リンパ液は血液のうち、液体成分である血しょうの一部が各組織の隙間ににじみ出て、新陳代謝物が加わった液体で、全身から首の下に集まり静脈に送られる仕組みになっています。タンパク質とリンパ球を豊富に含み、体の各部位から首の下の胸管という太い管に合流するまでの間に全身の代謝物や異物・細菌・がん細胞などを回収し、ろ過する役割を担います。
リンパ・リンパ液が流れる管のことを、リンパ管と言います。心臓を中心に全身を循環している血管とは異なり、指先や足先のような全身の末梢から始まり、細胞の間から余分な液体を吸い上げながらリンパを流しています。
体の末梢では毛細血管のような細く網目状の管になっていますが、徐々に合流して太い集合リンパ管、主幹リンパ管となって、胸の方へと向かっていく構造です。基本的には胸への一方通行であり、他のどの組織ともつながっていません。胸で2本の太い管としてまとまった後は、静脈に注いでいきます。
管の構造的には静脈に似て薄い一層の壁を持っていますが、静脈よりも薄く透過性が高いため、血管には入れない病原体や大きなタンパク質の分子も入ることができます。
血管に比べるとかけられる圧力は弱いですが、神経も確認され能動的にリンパを回収し流す働きのある、重要な器官なのです。
リンパ管が合流する個所にある、ソラマメのような器官をリンパ節と呼びます。ここには、白血球の一種であるリンパ球やマクロファージなど、人体をウイルスや細菌などから守る免疫細胞がたくさん集まっています。
リンパ節には、全身を流れる過程でリンパに入り込んだ細菌や有害物質などの異物を、リンパ管が合流するタイミングで攻撃・破壊しきれいにする役割があるのです。代表的なリンパ節として、のどの奥にある扁桃腺(へんとうせん)が挙げられます。
なお、リンパ節は常に異物と戦っているため、風邪をひいたり、著しく免疫状態が悪くなると炎症を起こし、腫れて痛みを生じさせることもあります。
ここまでにご紹介したリンパ(リンパ液)、リンパ管、リンパ節による一連の働きで、リンパが全身を巡り静脈に注入するまでを、まとめてリンパ系と呼びます。リンパ系が人体に果たす役割として、以下の4つがあります。
リンパと呼ばれる透明な液体を、足先・指先などの末梢から体の中心部へ向けて運び、静脈へ返す循環器のことを、まとめてリンパ系を呼びます。またリンパが流れる管のことをリンパ管、リンパ管が合流し液体をろ過する器官のことはリンパ節と呼ばれます。リンパ系は全身から胸へ向けて一方通行で流れる過程で、細胞の老廃物や有害物質、異物を水分と一緒に回収してきれいにし、血管に戻す重要な役割を担っているのです。