免疫の働きって?免疫の仕組みを利用したものがあるって本当?

2019/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

風邪が流行る季節などは特に、日常的に「免疫」という言葉をよく見聞きしますよね。でも、免疫がそもそもどのような機能・仕組みなのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。今回は免疫とは何か、免疫を利用した医療行為とあわせて改めて理解していきましょう。

免疫とは

免疫とは「疫」、つまり病気からまぬかれるための体の仕組み全般を指す言葉です。人間の体の免疫には、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。

自然免疫
体に侵入してきた細菌やウイルスなど、有害なものに対する最初の反応のこと。有害物質の情報を記憶・認識して攻撃する。
獲得免疫
自然免疫による攻撃をすり抜けた有害物質に対し、再び攻撃を行う免疫反応のこと。過去の記憶から有害物質の特性や種類を特定し、抗体を産出して攻撃する。

自然免疫は、私たちが自分の体を守るためにある程度保有している免疫機能であり、ある程度の記憶機能を使い体を防衛するための戦いをしてくれています。

一方、獲得免疫は、過去に特定の病気を獲得し戦った経験から発生する免疫であるため、経験から獲得する免疫機能というイメージです。過去に経験した感染症などに2度以上かからなくなって「免疫がついた」状態となるのは、獲得免疫の機能によるものです。

免疫はどんな働きをしている?

免疫は、以下のような免疫細胞と呼ばれる細胞の働きによって成り立っています。

NK(ナチュラルキラー細胞)、好中球、マクロファージ
ウイルスや細菌を食べて分解する、自然免疫で活躍する免疫細胞。好中球は白血球の一種。がん細胞にも攻撃をして殺し、除去する。なお、マクロファージも、血中では白血球の一種・単球として存在している。
好酸球、好塩基球
2つとも白血球の一種で、主に好酸球は体に侵入した寄生虫などに対応して体を守る。
T細胞、B細胞
T細胞が中心となり、B細胞がその働きをアシストするかたちで、ウイルスに感染した細胞やがん細胞など、異常のある細胞への抗体を産出する。
樹状細胞
直接的に異常細胞や病原体への攻撃はしないが、T細胞の働きを助け免疫反応をしている。

上記のような免疫細胞は、体のいたるところで侵入した病原体や異常細胞と戦っています。また、小腸に20~30か所あると言われる「バイエル板」というリンパ組織では、外敵や異常細胞に対し集団攻撃を仕掛けることもあります。

免疫は、外から侵入するウイルスや病原菌・寄生虫に対し自然免疫・獲得免疫として反応するだけでなく、体内で発生する異常細胞に対しても働き体を守っているのです。

ワクチンって免疫の仕組みを利用しているの?

前述した免疫のうち、「獲得免疫」を利用した代表的な医療行為が予防接種ワクチンです。

ワクチンの仕組みは、あえて作用を弱めた病原菌を体に注射することで人工的に獲得免疫の反応を起こし、感染症を予防する、というものです。作用を弱めているとはいえ、人によっては副反応として発熱などが起こることもあります。しかし、実際に発病しているわけではないので感染症になるよりも重症化しにくく、周囲に伝染させてしまうリスクもありません。

ワクチンは、感染症と戦う人類が自らの体の仕組みを利用して作り出した、対抗策なのです。

おわりに:免疫は病気から逃れるための仕組み。予防接種ワクチンは、免疫反応を利用しています。

免疫とは、体の外から侵入したウイルス・細菌・寄生虫などの病原体や、体内で発生したがんなどの異常細胞を戦い、駆逐して体を守る仕組みのことです。異物や侵入物に対して、まずはNK細胞やマクロファージなどが自然免疫を起こし、次にT細胞やB細胞が獲得免疫を起こして、体が病気にならないよう体のいたるところで常に戦っています。予防接種ワクチンは、人体が持つ獲得免疫の働きを利用することで感染症を防ぐ目的があります。

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