記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食物アレルギーは特定の食べ物に対し過剰な免疫反応を起こしますが、なかには、特定の条件下でのみ症状が現れる食物アレルギーもあります。今回は「食物依存性運動誘発アレルギー」がどのようなものか、その症状・原因・治療法まで、まとめて解説していきます。
特定の食べ物に対し、食後に運動した場合にのみ全身のじんましんやむくみ、咳き込み、呼吸困難などが現れる食物アレルギーを「食物依存性運動誘発アレルギー」と言います。
食物依存性運動誘発アレルギーの方は、特定の食べ物に対しアレルギー反応を起こしますが、ただ食べただけでは何の症状も起こしません。アレルゲンとなる特定の食べ物と食べてから、数時間以内に運動した場合にのみ症状が現れるのが特徴です。
6,000人に1人の割合で10~20代までの男性に多く発症するため、昼休みや5時間目の体育、部活動などの時間に初めて発症するケースが多いと言われています。
また、食物依存性運動誘発アレルギーはアレルギー性疾患のなかでも進行が早く、症状が出始めると重症化しやすい点も特徴的です。
食物依存性運動誘発アレルギーは、運動によって食べ物からのアレルゲンの吸収率が上がることが原因で起こる、と考えられています。原因となる食物としては小麦と甲殻類が最も多いですが、近年では野菜・果物をアレルゲンとして発症するケースも増えているようです。
また、発症に至る運動の条件・内容も人によって異なりますが、一般的には食後2~3時間以内にランニングや球技など高負荷の運動を行った場合に起こりやすいとされます。
先に述べた通り、食物依存性運動誘発アレルギーは症状の進行が非常に早いのが特徴です。このため、初期症状であるむくみや体のかゆみ、じんましんが現れているのに無視して運動を続けていると、あっという間に呼吸困難からショック状態に陥る可能性があります。
もし、食後の運動中に食物依存性運動誘発アレルギーが疑われるようなアレルギー症状が現れたら、すぐに運動を中止して医療機関を受診してください。症状を見て、既に呼吸困難や血圧低下による意識の混濁があるようなら、アナフィラキシーショックを起こしています。命にかかわる事態ですので、躊躇せずに救急車を呼びましょう。
食物依存性運動誘発アレルギーを発症すると、原因食品を特定し、意識的に摂取と摂取後の運動を避けない限り、かなり高い確率で再発します。また一般的に、アレルギー症状は再発を繰り返すたびに重症化・アナフィラキシーショックを起こしやすくなるという特徴もあります。
一度目の発症時の症状が落ち着いたら、できるだけ早い段階でアレルギー専門医による検査を受け、発症原因の食品を特定してください。そのうえで、日ごろの食事と運動において以下の注意点を守れば、再発を予防することができます。
食物依存性運動誘発アレルギーは、原因となる食品を食べた後2~3時間以内に運動をすることで、アレルゲンの吸収率が高まり発症する食物アレルギーです。単に特定の食べ物を摂取しただけでは何の症状も起こらず、食後に運動した場合にのみ発症します。発症後の進行が早く、あっという間にアナフィラキシーショックを起こして命にかかわる事態に陥ることもあります。体に前兆となる違和感が出たらすぐに安静にし、医療機関を受診しましょう。