有機酸ってどんなもの?食品に含まれてるって本当?

2019/8/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

私たちのまわりには、さまざまな化合物が存在しています。そのうち、とても身近で日常的に口にするものとして、有機酸が挙げられます。今回は有機酸がどのような化合物か、体内での働きや、よく使用されている食品の具体例とあわせて解説していきます。

有機酸とは?

果実に多く含まれ、腸内で悪玉菌の発生を抑制し細菌のバランスを整える作用があるとされる有機化合物の総称が、有機酸です。代表的な有機酸としてはカルボン酸、クエン酸、乳酸などがあり、基本的には水に溶けにくく、有機溶媒には溶けやすいという性質を持っています。

ただし有機酸のうち、ギ酸や酢酸など一部には、水に溶けやすい特性を持つ種類もあります。

体内での有機酸の働きは?

有機酸は栄養素として人の体内に入ると、以下のような働きを担います。

大腸のエネルギー源となり、腸内環境を整える

大腸を動かすための主なエネルギー源となり、さらにpH6以下の酸性の状態を保つよう作用して、腸内環境を整える。また、腸内で食物を分解する過程で発生するニトロソ化合物やアンモニアなど、有害物質を抑制する働きもある。

体内へのカルシウムの吸収を助ける

食物から、栄養素として体内へカルシウムを吸収する作用を促進する。

がん細胞の抑制

細胞の修復や分裂を左右するp21という因子に働きかけ、がん細胞を自死、または正常な細胞に変化させることで増殖を抑制する。

胆汁の二次胆汁酸への変換抑制

脂肪を分解・吸収する働きのある胆汁が、腸内細菌の作用で発がん性の高い二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸)に変換されるのを抑制する。

コレステロールの合成抑制

肝臓でコレステロールが合成されるのを防ぎ、コレステロール値の減少に役立つ。

上記以外にも、有機酸には食物に含まれる脂肪から体を動かすエネルギーを産出したり、心臓など筋肉を動かすエネルギー源となり、血行を良くするなどの効能もあります。有機酸は私たちの体を動かすためのエネルギーの産出と、栄養素の吸収・運用において、大きな役割を果たす成分だと言えるでしょう。

有機酸って食品にも使われてるの?

有機酸は食物に含まれているほか、調味料や酸味料として食品にも使われています。以下に、食品への添加物として使われている代表的な有機酸を紹介します。

  • コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム
  • クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム
  • グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム
  • 酢酸ナトリウム
  • DL-酒石酸水素ナトリウム、DL-酒石酸ナトリウム
  • L-酒石酸水素ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム
  • 乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム
  • フマル酸一ナトリウム
  • DL-リンゴ酸ナトリウム

上記のうち、特に独特のうま味や酸味を持つコハク酸は醤油や味噌、清酒、インスタントラーメンや加工食肉などに使用される添加物として広く知られています。

また味付け以外にも、飲み物や加工食品の保存状態を良くするためのpHの調整などにも、各種の有機酸は幅広く使用されています。

おわりに:有機酸は有機化合物の総称で、果物のほか、添加物としても食品に含まれています

有機酸は、果物などの自然界の食品にも含まれている有機化合物の総称です。また調味料や、保存の状態や期間を調整するための添加物として、お菓子やジュース、お総菜などの食品にも幅広く使用されています。複数種類存在していますが、人体に入るとそれぞれが腸内環境の整備や栄養の吸収、エネルギーの生成と運用・代謝に作用し体を助けます。有機酸は、私たちにとって便利で、役に立つ栄養素のひとつと言えます。

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