夏のうつ症状を予防するために、症状の特徴を知ろう!

2019/8/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

夏の終わりに疲れがたまったり、食欲が出なかったりすると「夏バテしちゃったかな…」と思いがちですが、これに気分の落ち込みや不安感といった症状がみられるときは、夏のうつ(季節性感情障害[SAD])の可能性があります。この記事では、夏のうつの特徴や対処法をご紹介します。

夏のうつってどんな症状?

夏のうつは、医学的には季節性感情障害(SAD)に分類される症状です。季節性感情障害は、仕事や家族、人間関係上での心理的原因となりうる出来事や、入学や就職、結婚や離婚、死別など大きなライフイベントが起こっていないにもかかわらず、「一年のある時期にのみ」気持ちが落ち込むのが特徴です。

季節性感情障害としては冬にみられる冬季うつが有名ですが、夏に起こるものを夏季うつと呼ぶことがあります。「夏季うつ」は俗称で、医学的な診断名ではありません。

夏季うつは、6月~9月といった高温多湿の時期に起こることから、夏バテのように捉えられることがあります。しかし、食欲低下や不眠のほかに、気分の落ち込みや不安感といった精神的な不調を伴うことが特徴です。

夏季うつは、一般的には、男性よりも女性のほうがなりやすいとされています。女性は女性ホルモンの変動に加え、光や温度、湿度といった環境からの影響を受けやすいということが原因となっていると考えられています。

夏のうつを招く原因は?

夏季うつを招く原因には、日本特有の夏の気候があるといわれています。高温多湿な夏はからだへの負担が非常に大きくなります。また、冷房のきいた屋内と、灼熱の屋外では大きな気温差があります。人間のからだは、寒さや暑さが厳しくても、ある程度の体温を保ったり、からだの機能を維持するようにバランスをとる仕組みを持っています。屋内外の出入りをすれば、それぞれの気温に合わせてからだを調節します。しかし、屋内外の移動を繰り返せば、そのたびに、調整をしなければなりません。その結果、からだに大きな負担がかかります。

また、食事に含まれる栄養素は、筋肉や骨、からだを調節するホルモンなどの材料となり、からだをつくる基本となります。しかし、暑さが続くと、ついつい冷たい飲み物や、さっぱりと食べられる簡単なメニューを選びがちになるものです。からだが対応しようとしても栄養素が偏り、必要な反応ができなくなる可能性があります。

夏のうつを予防するには?

夏のうつ症状を完全に防ぐことは難しいかもしれません。しかし、原因と考えられている、夏の暑さや日差し、温度や湿度を少しでも快適にすることで、症状が軽減される可能性があります。

日差しの浴びすぎ対策
太陽の日差しを長時間浴びることは体力を奪います。外出時間を減らしたり、ずらしたりしましょう。また、帽子や日傘などを使うのも良いでしょう。
無理のない室温設定
近年の猛暑の気候では、我慢せずにエアコンをつけることが大切です。暑い外から帰るとひんやりと冷えた部屋で過ごしたくなるものですが、エアコンの設定温度が低すぎないようにしましょう。
睡眠
心身の回復には、睡眠は欠かせません。夜間はエアコンを切るという人も少なくはないようですが、夜間も気温が高い場合は、エアコンを使用して眠るようにしましょう。また、肌触りの良い寝具やパジャマを使うのも睡眠の質を高めることに繋がります。寝る直前までPCやスマートフォンを見ているということは止めましょう。
食事
感情を調節するホルモンは、トリプトファンというアミノ酸からつくられています。食品では、牛乳やチーズなどの乳製品や、枝豆、豆腐、納豆などの大豆製品に含まれています。スープにしたり、冷たくしたりすることで、食欲がないときも食が進みやすくなることでしょう。

夏は日も長くなり、屋外でのレジャーへの誘いも多くなりがちです。楽しんだ後もしっかり休養と栄養をとるようにしましょう。

おわりに:睡眠や食事のバランスに気をつけ、夏のうつ症状を予防しよう

夏季うつは、明らかに心理的なショックやストレスを与える原因がないにもかかわらず、夏に精神的不調を起こす状態です。医学的には季節性感情障害に分類されます。高温多湿な夏は、気温差に合わせるためにからだが無理をすることになります。できるだけ、気候の負担を小さくするとともに、睡眠や食事のバランスが崩れないように生活を整えていきましょう。

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