性ホルモンはどこから分泌されているの?

2019/8/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

性ホルモンとは、男性らしさ・女性らしさを作ることや、生殖に関係するホルモンのことです。よく「男性ホルモン」「女性ホルモン」という名称を聞いたことはありませんか?このホルモンは、単に生殖機能に関係したり、第二次性徴の体の変化を作るだけでなく、さまざまな体の機能に関わっているのです。

性ホルモンはどこから分泌され、どんな機能に関わっているのでしょうか?この機会にぜひ一度おさらいしておきましょう。

性ホルモンとは

性ホルモンとはいわゆる「男性らしい体や機能」「女性らしい体や機能」を作るホルモンのことで、男女ともに「生殖腺」という生殖に関わるメインの細胞「精子」または「卵子」が作られる場所から分泌されます。

男性の生殖腺は「精巣」と言い、陰茎の根元にある陰嚢内に2つ存在しています。一方、女性の生殖腺は「卵巣」と言い、下腹部にある「子宮」の横に2つくっついています。つまり、男性の生殖腺は体外にあり、女性の生殖腺は体内にあるところがもっとも大きな違いと言えます。

男性の性ホルモンが分泌される場所は?

男性の性ホルモンが分泌される「精巣」は別名「睾丸(こうがん)」とも呼ばれ、陰茎の根本にある陰嚢の内部にある卵型の臓器です。左右に1つずつ、合計1対あり、男性ホルモンを産生・分泌する「ライディッヒ細胞」と、精子を造るもとになる「精母細胞」の2種類の細胞を中心に構成されています。

男性ホルモン(精巣ホルモン)はまとめてアンドロゲン(Androgen)と呼ばれ、中でも男性ホルモンの代名詞となっているのがテストステロン(Testosterone)です。テストステロンの合成や分泌を促進するのが「LH(性腺刺激ホルモン/黄体ホルモン)」で、脳の視床下部という部分から分泌され、ライディッヒ細胞を刺激します。

視床下部からは「FSH(性腺刺激ホルモン/卵胞刺激ホルモン)」というホルモンも分泌され、精巣のセルトリ細胞を刺激して精母細胞から精子が作られるのを促進します。精母細胞が精子として完成するまでは約3カ月程度と言われています。

女性の性ホルモンが分泌される場所は?

女性の性ホルモンが分泌される「卵巣」は、子宮の両側に1つずつ、合計2つある楕円形の臓器で、女性ホルモンを分泌する働きと、卵子の成熟・排卵を行う働きの2つの機能があります。女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、これらのホルモンの分泌量によって月経周期が決まっています

とくに、エストロゲンは「女性を創るホルモン」とも言われるほど、以下のような女性の全身の機能に大きく関わっています。

  • コレステロールなどの脂質代謝
  • 骨量の維持
  • 心・血管系の循環器
  • 肌のツヤ・ハリ
  • もの忘れやうつなどに関わる脳・中枢神経系
  • 妊娠の準備を整える

卵巣内の卵子のもと「卵母細胞」は、胎児のときに既に作られており、生まれた後は徐々に淘汰され、思春期以降は月経周期のたびに排卵が起きて減っていきます。卵巣そのものの重量は20代で最大となり、閉経期になるころには最大重量の半分以下にまで小さくなります。卵巣と卵管は、合わせて子宮附属器と呼ばれます。

性ホルモンの分泌量が減ると…?

性ホルモンの分泌量は、もっとも性的に活発である10代~20代を過ぎると、個人差はあるもののだんだん減少していきます。とくに、女性は50代ごろに「閉経」が起こりますが、この閉経に伴って女性ホルモンが顕著に減少していきます。こうして性ホルモンの分泌量が減っていくと、男女ともに「更年期障害」という状態に至ります。

それぞれの性別ごとに、更年期障害について詳しく見ていきましょう。

男性の更年期障害ってどんなもの?

更年期障害は長年、女性だけに起こる閉経に伴った症状だと考えられてきましたが、近年の研究により、男性も性ホルモンである「テストステロン」が減少することで、女性の更年期障害とよく似た症状を発症することがわかってきました。この症状は男性更年期障害(LOH症候群)と呼ばれ、テストステロンの減少量や減少のスピードに個人差が大きいことから、女性よりも発症年齢に幅がある症状です。

具体的には、40代ごろから60代、70代ごろまで、発症のタイミングはさまざまです。また、女性の更年期障害が閉経前後の数年間で済む人が多いのに対し、男性の更年期障害は減少のスピードによって長期間続くこともあります。具体的な症状としては、以下のようなことが挙げられます。

性機能関連症状
性欲の低下、ED(勃起障害)など
精神・心理症状
抑うつ状態、落ち込み、不安、疲労感、記憶力や集中力の低下など
身体症状
発汗やほてり(ホットフラッシュ)、睡眠障害、関節・筋肉関連の症状など

これらの症状の直接的な原因がテストステロンの減少であることは事実ですが、逆に、症状そのものがテストステロン量の減少を進行させてしまうこともあります。例えば、近年はビジネスマンのうつ病が問題になっていますが、テストステロンの減少によって抑うつ感が生じる一方で、抑うつ状態によってテストステロン量が低下することがわかっています。

さらに、日本は世界でも有数のED有病率の高さで有名ですが、抑うつ感とEDは切り離せないほど深い関連があります。抑うつ感からEDを発症することも、EDから抑うつ感を発症することもあり、近年ではEDだけでは言い出しにくかった人が男性更年期障害に伴う抑うつ感を訴え、問診の中でEDも伝えるということが多くなっているようです。

いずれの場合も、抑うつ感・ED・ホットフラッシュなどの特徴的な症状に自覚があれば、医療機関で診察を受けると良いでしょう。テストステロン製剤や、生活指導などによってテストステロンの分泌量を増やす治療が行われます。

女性の更年期障害ってどんなもの?

女性の更年期障害はよく知られた言葉ですが、具体的には女性ホルモン(エストロゲン)が閉経に伴って顕著に減少していくのに従って現れるさまざまな症状のことです。閉経前後の数年間で終わることが多く、主に以下のような症状が現れます。

精神・心理症状
情緒不安定、憂うつ感、不安感、イライラなど
身体症状
ほてり、のぼせ、肩こり、頭痛、発汗、動悸、腰痛など

エストロゲンの分泌量は、卵巣の機能低下(排卵のストップ)に伴って少なくなります。また、精神的なストレスも症状に影響すると考えられています。

女性の場合も、治療はエストロゲンを補充する薬物療法のほか、精神症状が強い場合には精神安定剤などを併用することもあります。ストレスを解消したり、軽い運動を習慣にするなどの生活指導で症状が改善することもありますので、更年期障害の症状がつらい場合は一人で抱え込まず、早めに病院を受診しましょう。

おわりに:性ホルモンは「生殖腺」から分泌されています

男性ホルモン・女性ホルモンはそれぞれの体に備わっている「生殖腺」から分泌され、思春期の第二次性徴(男性らしさ・女性らしさ)のほか、体を健康に保つのに一役買っているのがわかります。

その証拠に、性ホルモンの分泌が減る中年期以降、男女ともに「更年期障害」というさまざまな不調が起こります。男性更年期は比較的最近知られてきた症状ですが、男女ともにつらい場合は早めに病院を受診しましょう。

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