記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/10/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
のどや気管支などの、呼吸器系の感染症の原因となるRSウイルスは、特に乳幼児が感染しやすいウイルスと言われています。この記事では、RSウイルスの感染経路や感染した場合の症状、対処法について解説します。
RSウイルスのRSは「Respiratory Syncytial(=呼吸器の合胞体)」の略で、のどや気管支などの、呼吸器系の感染症です。ウイルスが感染すると、呼吸器の細胞が腫れて1つになることが、名前の由来です。RSウイルスは感染力がとても強く、いわゆる風邪の原因ともなるウイルスであり、2歳児までの乳幼児はほぼ100%感染するともいわれています。
乳幼児や小児においては、気道感染症を引き起こし、肺炎や細気管支炎などの重篤な病気につながる可能性もあります。全年齢で感染の危険性はもちろんありますが、乳幼児の場合は特に注意したいウイルスです。
RSウイルスは感染力が強いため、くしゃみや咳などの飛沫や手指の接触などからもすぐに感染します。ウイルスに感染した人の手では約30分、机などが汚染されれば6時間ほどは感染力が持続するほどです。初めに鼻から侵入して、感染することが多いといわれています。
感染してから発症するまでには、2~8日の潜伏期間があり、ウイルスが排泄されるまで7~21日間かかります。そのため、ウイルスを保持している期間が比較的長く、感染が広がりやすいです。
RSウイルスで見られる症状は、鼻水、せき、発熱など、一般的な風邪の症状です。しかし、ウイルスが下気道に入り込むことで、下気道炎や細気管支炎、肺炎にいたることもあり、入院が必要になる場合もあります。特に乳幼児は重症化しやすいため、高熱や苦しそうなせきが続く場合もあるでしょう。早めにかかりつけの医者に診せることが大切です。
RSウイルス感染症は薬で症状を和らげることができますが、RSウイルスに有効な抗ウイルス薬はまだ開発されていません。そのため、咳止めや解熱剤、痰を斬りやすくする薬などを服用する対症療法が中心になります。
ただ、感染後の症状が重篤になりやすい新生児・乳幼児の場合は、感染症の重症化を予防するため、人工的に作ったRSウイルスの感染症(モノクロナール抗体製剤)を、流行時は、1カ月おきに注射することがあります。
対象となるのは、以下の新生児および乳児です。
RSウイルスの感染予防は、1歳以下の乳児において特に重要になります。家族全員の手洗い、風邪を引いた人や兄弟との接触は避けましょう。家族間では完全に接触を避けるのは難しいかもしれませんが、風邪を引いている他の家族とは寝室を別にするといった対策は大切です。大きな子供や大人は、「風邪を引いたかな」程度の症状で済むこともありますが、軽く考えずになるべく乳児に感染しないよう注意してください。
10月頃から2月頃は流行期のため、人の出入りが多い場所、受動喫煙の可能性がある環境は避けたいところです。タバコの煙に関しては、子どもの気道を刺激し、咳の悪化を引き起こす可能性があります。たとえ健康時であっても気を付けてください。また、RSウイルスは、喘息を発症しやすいウイルスです。乳児が重篤な状態に陥らないためにも、予防を心がけてください。
RSウイルスは、のどや気管支などの、呼吸器系の感染症を引き起こします。感染力がとても強く、いわゆる風邪の原因ともなるウイルスであり、2歳児までの乳幼児はほぼ100%感染するともいわれています。乳幼児や小児においては、気道感染症を引き起こし、肺炎や際気管支炎などの重篤な病気につながる可能性もあります。風邪を引いた家族との接触を避ける、人混みを避ける、受動喫煙を避ける、などの予防が大切です。