記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/2/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖分と聞くと、体に悪いからあまり摂らないほうが良いイメージがあります。この記事では、糖分(糖質)の働きを紹介するとともに、1日にどのくらいだったら摂っても大丈夫かも解説します。
「糖分」という言葉には明確な定義がなく、甘い物やごはんといった糖質食品を指すことが多いです。明確に定義されているのは「糖質」で、健康増進法に基づく栄養表示基準による食品表示では、炭水化物は消化しやすい糖質と消化しにくい食物繊維からなり、さらに糖質は「糖質」(単糖類、二糖類)、穀類やイモ類に多く含まれるでんぷんなどの「多糖類」、キシリトールなどの「糖アルコール」、「その他」の4つに分類されています。
一般に糖分として認識されやすい甘いものは、糖質の中でも果物やハチミツなどに多く含まれる、「単糖類」のブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクト―ス)、「二糖類」の麦芽糖(マルト―ス)、砂糖(スクロース、ショ糖)、乳糖(ラクトース)、でんぷんから作られるトレハロースなどです。
糖分(糖質)は、体の主要なエネルギー源で、消化・吸収されて1gあたり1kcalのエネルギーとなって血液とともに全身を巡ります。糖質には脂質やタンパク質よりもすばやくエネルギーとして利用できるという特徴があり、長時間の運動には主に脂質が使われますが、短時間の運動には糖質からのエネルギーが使われます。
また、脂肪をうまく使うためにも糖質が必要です。体内には血液中のブドウ糖のほか、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして少量が貯蔵されている分しか糖質はありません。「糖質=太る」といったイメージが強いのは、すぐに使う量以上に糖質をとり過ぎると余分なブドウ糖が脂肪に変換され体脂肪として蓄えられてしまうからです。
糖質の摂取を極端に制限するなどして体内の糖質の量が足りなくなってしまうと、エネルギー不足で疲れやすくなったり、糖質の不足分を補うためにタンパク質が使われて筋肉量が減少し、基礎代謝を低下させる場合もあります。
また、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源なので、集中力の低下など、脳の働きを妨げてしまう場合があり、ひどいときには意識障害などを起こす可能性もあります。
糖質は、ご飯、パン、麺、イモ、果物、砂糖、ハチミツなどに多く含まれています。1日あたりの必要な糖質量は、自分がどの程度体を動かしているか、脂質をどの程度とっているかで大きく変わりますが、おおまかな目安として、1日2,000kcal必要な人では、その約60%の1,200kcal(ご飯を茶わんに5杯分)を糖質からとるのが望ましいといわれています。糖質は、とり過ぎると生活習慣病を招く恐れがありますが、不足が続くと体力が低下してしまいます。適切な摂取を心がけることが大切です。
糖分(糖質)は、体の主要なエネルギー源で、特に脳にはなくてはならないものです。一般に1日の必要摂取カロリーの約60%を糖質からとるのが望ましいとされています。糖分はとり過ぎると生活習慣病などにつながりますが、不足すると体力や集中力の低下を招きます。ダイエット中でも適量は摂るようにしましょう。