イレウスの発症原因はタイプによって違うって本当?

2020/5/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

何らかの原因で腸管がふさがってしまう状態をイレウスと呼びます。この記事では、イレウスにはどのような種類があるのかや、発症原因について解説します。

イレウスとは

イレウスの症状を大きく分けると、腸管の形が変わって閉塞した機械的イレウスと、腸の動きに異常が起こる機能的イレウスの2種類があります。

機械的イレウス

何らかの原因で腸管の内側が詰まってしまう状態で、腸管への血流障害のない単純性イレウスと、血行障害が起こる複雑性イレウスに分けられます。機械的イレウスは、イレウスの大部分を占めると言われます。

機能的イレウス

何らかの原因で腸に麻痺(まひ)やけいれんが起こり、腸の蠕動(ぜんどう)運動が正常に起こらない状態です。発症率は、麻痺が原因で起こるイレウスのほうが高くなっています。

かつて腸閉塞とイレウスを同じ病気と捉えられてきましたが、近年は腸閉塞とイレウスを区別する流れもみられます。日本では腸閉塞によるもの、汎発性腹膜炎などによる腸管麻痺に起因する機能性イレウスのいずれをもイレウスと呼んできましたが、海外では腸管麻痺による機能性イレウスのみをイレウスと呼んでいます。そのため、急性腹症診療ガイドライン2015では、機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし、腸閉塞とは別のものと定義しています。

機械的イレウスの原因は?

機械的イレウスのうち、単純性イレウスは、腸管の閉塞のみが起こります。腹腔(内蔵があるおなかの空間)をおおっている腹腔膜に炎症が起きた後や腹部の手術後に、腸と腸、もしくは腸と腹腔壁が癒着を起こして腸管が曲がったりふさがることがあります。また、腸や、周辺の臓器にできた腫瘍によって腸管が圧迫されて閉塞することもあります。ただし、単純性イレウスでは腸が詰まるのみで、腸への血流が障害されることはありません

一方、複雑性イレウスの場合、腸への血液がうまく流れなくなり、腸が壊死して穴が開いてしまうことがあります。そのまま放置すれば、壊死した細胞の成分や細菌が全身に運ばれて敗血症が起きたり、重要な臓器が働かなくなる多臓器不全が起こったりするおそれがあります。そのため、複雑性イレウスと診断された場合には、緊急の手術が必要です。

機能的イレウスの原因は?

機能的イレウスの中でも比較的発症しやすい麻痺性イレウスは、もともと腸に病気のある人や、高齢の人に起こりやすいといわれています。一般的には、腹膜炎や腹腔内への出血や血液の電解質異常、服用している薬の作用などによって引き起こされます。また、麻痺性ウイルスの副作用を起こす可能性がある薬として、鼻炎薬、麻薬系鎮痛薬、免疫抑制剤、抗精神病薬、抗がん剤、など複数のものがあります

一方、けいれん性イレウスは、部分的な炎症が起きたり、胆石や腎結石などが腸管に刺激を与えたりすることで起こるだけでなく、自律神経の乱れで起こることもあります。そのほか、鉛やニコチンなどによる中毒症状で起こることもあります。

おわりに:イレウスには機械的イレウスと機能的イレウスがある

一般的には、イレウスは腸の形状が変化して腸管が詰まってしまったり、腸がけいれんや麻痺を起こしてうまく働かなくなった状態をいいます。大きく分けると機械的イレウスと機能的イレウスがあり、機械的イレウスは血行障害の有無によってさらに2種類に分けられます。機械的イレウスのうち、血行障害の起こる複雑性イレウスは、全身状態に悪影響を与えるリスクがあるため、診断後は緊急手術が行われます。

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