記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/10/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
イレウスは腸閉塞とも呼ばれる症状で、発症するとお腹の張りや痛み、便秘といった症状がみられます。この記事では、イレウスを発症した場合にみられる症状を紹介するとともに、発症した場合の治療法について解説します。
イレウスは、腸閉塞とも呼ばれる症状です。何らかの原因で腸が詰まり、食物や消化液、ガスなどが腸の中にたまってしまうことで、さまざまな症状を起こします。イレウスを発症すると、腹部全体の痛みや、膨満感、便秘、おう吐といった症状がみられます。また、発熱したり、脈が速くなったりすることもあります。
イレウスかどうかを診断するためには、一般的には以下のような方法で検査が行われます。
イレウスの中には、過去に手術をしたことがある人や、がん、ヘルニア、クローン病などが影響するものがあります。クローン病は指定難病のひとつです。腸内で炎症が起こって、腸内に潰瘍やびらんができる原因不明の病気です。また、薬の影響を受けることもあるため、内服薬についても聞き取りを行います。
医師による触診と聴診を行います。腸の動きや、腹部から足の付け根にかけて異常な膨らみがないかなどを触って確認します。また、腹部の音の聴診も行います。
イレウスになると、腸からの栄養や水分の吸収が難しくなって脱水症状が起こりやすくなります。血液検査を行って脱水の有無を確認します。
立った状態や仰向けの状態でレントゲンを撮影して、画像で異常を確認します。腸管に空気と液体が貯留した鏡面像(二ポー)と呼ばれる状態がないかどうかや、ガスの貯留や小腸内のひだの状態を確認します。
超音波をあてることで、腹部の状態を画像で確認します。腸管内にたまっているものの程度や、腸の動きの異常などについて確認します。
腸の形を詳しくみるために、造影剤という薬を使ってレントゲンで撮影します。閉塞が起こっている部位や、閉塞の程度などが確認できます。造影剤が使えないときには、造影剤を使わないCT検査を実施することもあります。
イレウスは、そのタイプによっては全身状態の悪化につながり、緊急手術が必要となるものがあります。そのため、イレウスが疑われたときには、手術が必要なタイプであるかどうかを迅速に判断することが求められます。
イレウスの治療には、絶飲食や点滴を中心に治療を行う保存的な治療と、手術を行う外科的な治療があります。イレウスのタイプによって、主な治療方法が異なります。
複雑性イレウスは、特に緊急手術が必要とされています。腸管がくっついて癒着状態となったり、腸がねじれていたりすると、腸への血流が届かなくなってしまいます。血液が腸に送られないと、腸の動きが悪くなるばかりか、細胞が壊死して腸に穴が開いてしまうことがあります。また、毒性のある成分が全身に運ばれ、敗血症や多臓器不全を起こすことがあります。複雑性イレウスは、急に症状が現れてどんどん症状が悪化するため、緊急処置が必要となります。
機械的イレウスのうち単純性イレウスタイプや、機能的イレウスでは、手術の必要性がない場合には保存的治療を行います。イレウスでは、腸管に食物や消化液などがたまりますが、吸収が起こらないため、脱水や電解質の異常が起こります。口から食べても改善はみられないため、食事は中止し、点滴によって水分と電解質の補給を行います。
また、腸管内の圧力を下げるために、イレウス管と呼ばれる管を挿入します。イレウス管は主に鼻から挿入して、十二指腸を超えた場所に届くように入れます。大腸に症状がある場合は肛門から挿入します。
イレウスは、何らかの原因で腸内に食べ物や消化液、老廃物などが蓄積してしまう状態です。腸のねじれや癒着、血管の締め付けによって血行異常が起こっている場合は、緊急手術が必要なこともあります。イレウスが疑われた場合には、問診や検査を行い、手術の必要性を迅速に判断することが求められます。外科的な治療の対象ではない場合には、絶飲食や点滴で行う保存的な治療が行われます。