普段の生活で意識が飛ぶ原因は?病気で意識が飛ぶことも?

2019/10/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

自宅や外出先で、突然意識が飛んでしまった経験はありませんか?このような意識障害には、何らかの病気が原因で起こることも多いと考えられています。そこで今回は、普段の生活で意識が飛ぶ原因について、考えられる病気の種類や意識消失時の応急処置とあわせて解説します。

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日常生活で考えられる、意識が飛ぶ原因は?

病気の可能性がないのに突然意識が飛んでしまう原因として、以下の4つが考えられます。

体温の上昇や、脱水症状によるもの

直射日光の下、または高熱や高温多湿の環境に長い時間を過ごすと、末端神経の拡張と多量の発汗が進んで脱水状態に陥ります。すると全身の血液循環量が減少し、意識が飛んでしまうことがあるのです。

アルコールの過剰摂取によるもの

アルコールには脳を麻痺させる作用があり、摂取量が多くなるほど麻痺も進んでいきます。多量のアルコールを摂取すると、麻痺は脳の呼吸や心臓など生命活動を司るエリアにまで及び、意識を飛ばしてしまうことがあります。

一酸化炭素中毒によるもの

木炭や練炭、ガス湯沸かし器やストーブなどが室内で不完全燃焼を起こすと、部屋の中の一酸化炭素濃度が高まって中毒症状を引き起こします。中毒症状に陥ると徐々に体の自由が利かなくなり、最終的には意識が飛んで昏睡状態に陥ります。

その他の原因による、一時的な意識障害

脳への血流が一時的に不足したり、過度の緊張状態に置かれると、脳貧血や過呼吸による酸欠から意識が飛ぶことがあります。

意識が飛ぶのが危険なときもあるって本当?

私たちの脳は、全身の血液流量の15%、酸素量の20%を消費することで正常に働き意識を保っています。意識が飛んでしまうと言うことは、たとえ短時間でもこの脳の管理がうまくいかなくなったということを意味します。

脳そのものに異常がなくても、血圧や血液の量、血糖値など、何らかの体の機能に重大な異常が生じていることを示すサインです。時間の長短にかかわらず、意識が飛ぶこと自体が体に何らかの重大なリスクが生じている状態であることを認識しておきましょう。

意識障害を伴う病気の種類は?

先述した4つ以外に、何らかの病気が原因で意識が飛んでしまうこともあります。意識が飛ぶ、もうろうとする意識障害を伴う代表的な病気としては、以下の9つを挙げることができます。

  • 38度以上の高熱で、脳が刺激されて起こる「熱性けいれん」
  • 脳の伝達システムの異常が原因で、一時的な意識障害が起こる「てんかん」
  • 800mg/dl以上、または50mg/dl以下の血糖値で起こる「高血糖・低血糖」
  • 狭くなった血管に血の塊が詰まり、脳の血流が止まってしまう「脳梗塞」
  • 動脈の破裂・損傷により脳内で出血してしまう「くも膜下出血・脳出血」
  • 心臓を動かす血管が狭くなり、血の塊が詰まって血流が止まる「心筋梗塞」
  • 腎臓の機能低下で尿として排出すべき毒素が血中に溜まってしまう「腎不全・尿毒症」
  • 細菌やウイルス、寄生虫などが脳や脳脊髄膜に炎症を起こす「脳炎・髄膜炎」
  • 肝臓の炎症が慢性的に続き、機能が著しく低下してしまう「肝硬変・肝不全」

意識障害を起こした人の応急処置法は?

突然意識が飛んでしまった人を見かけたら、まずは以下の手順で意識レベルを判断します。

意識レベルの判断の仕方

大声で呼びかけ、肩をたたいてみて…
  • 体のどこも、まったく反応しない … 昏睡状態
  • こちらからの刺激に反応が見られる … 半昏睡状態
  • こちらからの声掛けに対し、返事をする … 意識混濁

上記のうち半昏睡・意識混濁であれば、呼びかけを継続したまま119番通報で救急車と呼んでください。昏睡状態と判断できる場合には、119番通報で救急車を呼ぶと同時に、速やかにAEDなどを使った応急処置も行う必要があります。

以下の手順で、意識がない人の状態にあわせた応急処置をしてあげてください。

  1. 胸と腹部の動きを10秒間、集中して観察して呼吸の状態を探る
  2. 正常に呼吸しているようなら、あごを持ち上げて気道を確保し、毛布などで体温を保ちながら救急車を待つ
  3. 正常な呼吸が見られなければ、心臓マッサージや人工呼吸、AEDを使って心肺蘇生を開始する

おわりに:突然意識が飛ぶ原因としては、一時的な不調か病気が考えられます

普段の生活で突然意識が飛ぶという事態は、時間の長短にかかわらず体に重大な異常が起こっていることを示唆しています。一時的な不調であれば、脱水やアルコールの過剰摂取、貧血などが考えられます。しかし一方で、意識障害が重大な病気の症状のひとつとして現れている可能性も存在します。突然意識が飛ぶ症状に見舞われたときは、その他の症状や状況も観察しながら、医療機関の受診を検討してください。

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