無酸素運動で得られる効果は?効果を得る上での注意点は?

2019/9/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダイエットや健康維持のためには運動が効果的だといわれますが、運動にも種類があります。無酸素運動と有酸素運動では得られる結果が違いますので、この2つの運動を使い分ければより効率的に目標に近づくことができます。この記事では、無酸素運動の効果や注意点を中心に解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

無酸素運動とは

無酸素運動とは、短い時間で大きな力を使って行う強度の高い運動です。体を動かすときには筋肉を使いますが、無酸素運動では酸素を用いずに糖をエネルギー源にして筋肉を使います。運動強度が高いため、筋肉量を増やして基礎代謝を高める効果が得られます。

  • エネルギー源:糖
  • 特徴:運動強度が高い。全力や強い力を短時間で発揮する
  • 運動:短距離走、中距離走、筋力トレーニング、投てき、ウェイトリフティングなど
  • 効果:筋力、筋パワー、筋肥大、筋持久力のアップ

有酸素運動との違いは?

有酸素運動は酸素を使って行う運動のことで、体に貯蔵されている体脂肪をエネルギー源にします。短時間で大きな力を使う無酸素運動と比べると、長時間で強度の低い運動を行います。脂肪燃焼効果が期待できるため、ダイエットを目的とした人におすすめの運動です。体脂肪減少の効果のほか、高血圧の改善を目指す人も取り入れたい運動です。

  • エネルギー源:脂肪酸
  • 特徴:運動強度が低い。ある程度の時間継続して行う
  • 運動:マラソン、ジョギング、ウォーキング、水泳、サイクリングなど
  • 効果:体脂肪の減少、高血圧改善、循環器機能の向上

ただし運動強度や運動の継続時間によって、エネルギー源は交代することがあります。有酸素運動のマラソンをしていても、長時間走り続けているうちに息があがることがあります。これは体内の酸素を使えなくなったために無酸素運動と同じ状態になったからです。

反対に無酸素運動である筋力トレーニングをしていても、正しい方法で行っていないと有酸素運動になる場合があるでしょう。たとえば筋肉に対する負荷が不十分な筋力トレーニングでは、筋力アップの効果が最大限に引き出されません。

無酸素運動の効果って?

無酸素運動では、短時間で大きな力を発揮する運動や速い動きを必要とする運動を行い、速筋と呼ばれる筋肉を使うことが特徴です。無酸素運動では速筋の筋量や筋力を向上させることができます。

速筋は加齢に伴い萎縮しやすい筋肉です。高齢者の障害の有無や転倒リスクには、速筋の状態との関連性が認められています。つまり、速筋を鍛えることで健康リスクをある程度抑えることができると考えられます。無酸素運動で速筋を鍛え、健康維持に取り組みましょう。

無酸素運動に取り組む際の注意点は?

有酸素運動は低~中程度の運動強度で長時間行う運動です。有酸素運動は無理のない範囲で継続して行うことが効果的とされるのに対し、無酸素運動は一定の回数の運動に全力で取り組むことが大切です。無酸素運動を短時間のうちに繰り返して行うと筋肉の強度が増し、動作のスピードアップや筋力強化が期待できます。

ただし、高齢者や運動習慣のない人がいきなり無酸素運動に取り組むと筋肉を痛める可能性があるので注意してください。また、高血圧疾患の人も気をつけましょう。運動後の心臓発作や血圧上昇のリスクを伴います。

運動をする前のポイント

ウォーミングアップ
急に運動を始めるのではなく、ウォーミングアップをしてください。ストレッチで体をほぐしたり、軽い運動で体を温めてから強度の高い運動に移りましょう。どんなウォーミングアップが適切なのかわからないときは、トレーナーがいるスポーツジムなどでアドバイスを受けると安心です。
医師に相談
高血圧疾患など持病のある人やシニア・プレシニアの人は、ご自身の状態をきちんと理解したうえでトレーニングに取り組んでください。医療機関に相談し、無理のない範囲で運動をしましょう。

おわりに:無酸素運動の効果や取り組み方を知って、健康維持に役立てましょう

有酸素運動と無酸素運動にはそれぞれ特徴があります。健康維持や筋力アップなど目的がある場合、2つの運動を使い分けて効果的に運動に取り組むことをおすすめします。自分の体の状態を確認しながら、ダイエットや健康維持を楽しんでください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

無酸素運動(3) 無酸素運動の効果(1) 無酸素運動の注意点(1)