記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/8 記事改定日: 2020/9/7
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
バリウム検査を苦手に思う人は多くいます。胃を膨らませる発泡剤やドロドロとしたバリウム溶液、検査台が回転することなどが苦手だと感じている人は少なくありません。このバリウム検査ですが、拒否できる場合があるのをご存知ですか?バリウム検査を受けない方がいい人はどんな理由があるか紹介していきます。
健康診断は、労働安全衛生法に義務づけられている「法定検診」と呼ばれるもので、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として定められています。検査項目は以下の通りです。
この項目の中に、バリウム検査はありません。つまり、バリウム検査は法的に義務づけられた検査ではないのです。ただし、健康保険組合によっては一般検診として胃部レントゲン検査がセットになっている場合もあります。
バリウム検査は食道や胃の中の病変を描出することができる画像検査です。
バリウムはレントゲン写真で白く映る性質があります。通常、食道や胃の粘膜は滑らかな状態になっているため、バリウムを服用してレントゲン写真を撮影すると粘膜のヒダに沿って均一に白く映ります。
しかし、潰瘍やポリープ、腫瘍などの病変があると、その部分だけバリウムが溜まって濃く描出されたり、バリウムがはじかれて一部分だけ色が抜けるように描出されたりするようになります。
このように、バリウム検査は食道や胃の粘膜に異常を引き起こす病気の有無を簡易的に調べることが可能です。しかし、バリウム検査のみではどのような病気なのか確定診断することはできません。また、胃潰瘍が治った跡なども描出されるため、正確な診断を下すには内視鏡検査が必要になります。
バリウム検査は法的な義務はありませんので、拒否しても罰則はありません。とはいえ、会社から受けるよう指示がある場合、勝手に検査項目を変える、断るなどしてしまうと問題になります。
バリウム検査前の注射も事情によっては拒否することができます。
バリウム検査の前に、たいていの検査施設では「鎮痙剤(ちんけいざい)」という筋肉注射を行います。この薬剤は消化管の蠕動運動を止め、バリウムがすぐに流れ出てしまうのを防ぐとともに、きれいに写真を撮影するためのものです。
薬剤は「ブスコパン」が使われることが多いですが、ブスコパンが打てない人などは「グルカゴン」を使うこともあり、いずれも副作用の可能性はありますので、心配な場合は注射を拒否しても構いません。
とくに、ブスコパンは悪心・嘔吐・頭痛・めまい・目のピントが合わなくなる・過度に瞳孔が開く(散瞳)などの副作用が出やすいとされています。これらは数時間で自然におさまり、その後の後遺症が残るわけではありませんが、数時間は仕事に支障をきたす可能性もあります。鎮痙剤の注射は行わない施設もあるわけですから、不安な人は受けたくない旨を事前に相談しておきましょう。
単に発泡剤やバリウム溶液を飲みたくない、検査を受けたくないという理由でバリウム検査を拒否するのは、デメリットが生じる可能性があります。会社の考え方や就業規則にもよりますが、極端な例で解雇されたという例もあるようです。しかし、何らかの正当な理由がある場合は、会社側も強制的に受させることはできないでしょう。
正当な理由の一例として、「バリウムにアレルギーがある」「以前にバリウムを服用して、体調が悪くなって検査を受けられなかったことがある」「検査後にバリウムをうまく排出できず、医療機関を受診したことがある」などのように、検査を受けることで明らかに体調が悪化するという場合などが挙げられます。詳しくはこの記事の4章で説明します。
とは言っても、検査当日になって突然「受けられません」となると、トラブルになってしまう可能性もあります。トラブルを避けるためには、事前に上司や担当部署などに相談し、体質的にバリウムが飲めない、排出できないなどの体調不良を引き起こす可能性があることを伝えておきましょう。
ただし、検査がセットになっている場合は胃部X線検査(バリウム検査)を受けないことでセット料金が適用にならず、検査費用が割高になったり、割引が適用になったりすることもあります。その場合、自己負担を求められる可能性もあります。
「社員の健康を守るため」という会社の方針により、どうしても何らかの胃の検査を受けなくてはならない場合、胃カメラによる内視鏡検査を受けてバリウム検査の代わりにするという方法もあります。一般的には自分で胃カメラの検査を受けて、その結果を会社に提出することでバリウム検査の代わりとすることができます。
また、会社の法定検診の際、可能であればバリウム検査を胃カメラに変更するという方法もあります。可能かどうかは会社の規定によりますので、必ず前もって確認しておきましょう。費用に関しても、超過分が自己負担なのか、胃カメラの検査費用はすべて自己負担なのかなど、会社ごとに細かく異なりますので、検査を胃カメラに変更したいという場合は、検査を受ける前に必ず上司や担当部署に相談しましょう。
バリウム検査は、そもそも受けられない、受けない方がいいという人もいます。以下の9項目のいずれかに当てはまる場合、バリウム検査を受けないよう指示される可能性もありますので、該当することがわかっている場合は事前に相談しておきましょう。
上記のように、やむを得ない理由でバリウム検査が受けられない場合は、胃カメラ(内視鏡)の検査で代用することができます。会社と相談の上、ぜひ、胃カメラの検査を受けましょう。
大人の小指程度の太さのスコープを口から挿入し、食道・胃・十二指腸とバリウム検査と同じ部位を観察します。スコープの先端に内蔵されているCCD(ビデオカメラ)で画像をモニタで観察するとともに、写真を撮影していきます。検査は10分程度で終了しますが、その間常に喉にものがはさまった感じがあります。
また、体に害のない色素を使い、染色して詳しく観察することもあります。また、必要に応じて胃の粘膜の一部を採取し(生検)、組織検査をすることもあります。こうした画像や組織検査の結果を総合して疾患の有無を判断します。結果は基本的にその場でわかりますが、組織検査を行う場合は2週間程度かかります。
胃カメラの検査は、以下のような手順で行われます。
内視鏡は細長い管状で、無理に飲み込もうとしなくても自然に入っていきます。喉にものがはさまった感じはありますが、痛みのある検査ではありません。医師やスタッフの指示に従い、全身の力を抜いて受けましょう。
バリウム検査は国が推奨している胃がんの早期発見のための検査ではありますが、労働安全衛生法に義務づけられている「法定検診」には含まれていません。つまり、バリウム検査を受けることは法的な義務ではありませんので、やむを得ない理由があれば拒否できる場合もあります。当てはまる場合は、会社に事前に相談しておきましょう。
また、その場合は代わりとして胃カメラ(内視鏡)検査を受けておくと安心です。バリウム検査と同じところを画像で診断することができます。