記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/24 記事改定日: 2020/10/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
体調の悪いときに、体がガタガタ震えて止まらないという経験をしたことはありませんか。今回は悪寒戦慄やその原因、痙攣との違いなどをご紹介します。
悪寒戦慄が起きるのには、発熱と関係しています。人の体温は、脳の視床下部にある体温中枢によって調節されています。風邪やインフルエンザなどによる細菌やウイルスに感染すると、体温中枢の調節が通常よりも高くなることによって体温が上がります。
一方で血液の温度は通常通りであるため、体の熱を体内に留まらせ、体温と同程度まで高めようとして、筋肉などを震わせることによって熱を産生します。
このとき、体の熱をできるだけ外へ逃がさないように、立毛筋や皮膚血管の収縮などを起こして体がゾクゾクするような寒気のことを「悪寒」といいます。また筋肉を収縮させることにより、熱を産生することによって起きる体の震えを「戦慄」と呼びます。
悪寒戦慄は体温を上げるために、筋肉の収縮によって体に震えがみられるものです。一方で「痙攣」とは、自分の意志とは関係なく体の筋肉が急激に収縮する発作のことをいいます。
どちらも高熱によって筋肉の収縮が起こって体に震えがみられますが、痙攣の場合には、主に以下のような特徴がみられます。
一般的に悪寒戦慄の場合は呼びかけに反応しますが、痙攣を起こすと意識を失います。また視線が合わない、一点を凝視するなどがみられます。
悪寒戦慄は始まりと終わりの時間がはっきりせず、体温が上がっている間は震えが継続したり、繰り返すことがあります。一方、痙攣は5~10分と短い時間で収まることがほとんどです。ただし、場合によっては震えが長引くこともあります。
悪寒戦慄では体温が上がっている間は血液の流れが悪くなり、手足が冷たくなることがあります。しかし痙攣の場合には呼吸抑制のために、全身にチアノーゼがみられる場合があります。また震えが治まった直後にチアノーゼが消え、急激に顔色が良くなる傾向にあります。
そのほか、痙攣の場合には全身の筋肉が突っ張った後に手足がガクガクとなる、息と一緒に唾液やよだれを飛ばす、震えが始まってしばらく経つと手足を大きく曲げ伸ばすことを繰り返す、といったことがみられる場合があります。
体がガタガタ震えて止まらないような悪寒戦慄は、風邪でみられることはほとんどないといわれています。そのため、何らかの細菌に感染した可能性が高いといえます。
また、次のような症状がみられた場合、肺炎を発症しているおそれがあります。
悪寒戦慄を引き起こす病気には以下のようなものが挙げられます。
いずれも強い炎症反応を引き起こし、高熱や倦怠感などの全身症状を伴うのが特徴です。また、原因によっては強い腹痛、黄疸、患部の腫れなどの症状を引き起こすこともあり、重症化すると意識障害が現れることもあります。
悪寒戦慄で寒気を感じている間は、体や手足を温めるようにしましょう。また目標とする体温にまで上がったら寒気がなくなります。
ポイントは、熱を外へ逃がしやすくするために、服や布団などを寒くならない程度に薄くすることと考えられています。
次のような症状を伴う悪寒戦慄は敗血症などの重篤な病気の発症サインの可能性があります。
悪寒戦慄は風邪では起きないと考えられており、細菌感染や肺炎などにより、悪寒戦慄がみられることがあります。悪寒戦慄が起きたら、体が求めている体温まで体を温めるようにしましょう。また、重篤な感染症を起こしている可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。