記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/10/22 記事改定日: 2021/7/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ウォーキングは、酸素を取り入れながら行う代表的な有酸素運動です。ダイエットだけでなく、生活習慣病予防など健康にも良い効果が期待できるため、多くの人に推奨されています。
健康のためにも、すぐにウォーキングを始めたいところですが、健康やダイエットのためにはどのくらい歩けば良いのでしょうか。今回は、ウォーキングをするときの理想的な距離の目安とウォーキングを始めるときの注意点について解説します。
ウォーキングに期待できるおもな効果は、以下の通りです。
一般的には、理想的な歩数は「1日に7,000~12,000歩」と考えられています。しかし、なかには「10,000歩以上歩くのは良くない」という考え方もあります。これは、歩きすぎによる疲労の蓄積で体調を崩したり、膝や腰への負担が大きくなったりすることが懸念されるからです。
理想的な歩数については、体力や身体のつくり、運動経験などによる「個人差」が大きく出るところですから、最初は無理をせず、自分に合った歩数からスタートしましょう。
理想のウォーキング量を距離で示すと、1日5~10kmが良いといわれています。とはいえ、まったく運動経験のない人がいきなり10kmウォーキングすれば、体に相当な負担をかけることになるでしょう。
歩数を目安にするときと同様、初めは無理のない距離(数km程度)を目標にし、様子を見ながら距離を増やしていくようにすると良いでしょう。ちなみに、歩数をもとに歩いた距離を導き出すには、以下の計算式が使えます。
たとえば、身長1.6mの人が7,000歩歩くと、1.6×0.5×7,000=5,600mとなります。つまり、7,000歩を理想の歩数としたときの理想の距離は5.6km(5,600m)となり、どちらも理想の範囲内に入っています。
この計算式を利用すれば、自分に合う歩数をもとに歩く距離の目標を算出したり、歩いているコースの距離が理想の歩数の範囲に入っているかを確認したりすることが可能です。
ウォーキングを続けるには、「専用の服や靴を用意する」「無理をしすぎない」「アイシングやストレッチを忘れずに行う」「続けやすい時間帯を選ぶ」ことが大切です。
ウォーキングは、意外と汗をかきます。また、正しく腕を振って歩くには動きやすい素材の服が必要ですし、パンプスや革靴で数十分から1時間歩けば、足も靴も傷めてしまうでしょう。今まで運動をしたことがない人には想像しにくいかもしれませんが、専用でない服や靴を使っての運動には、危険がともなうこともあります。
ウォーキングをするときは、ウォーキング専用の服やスニーカーなどを用意しましょう。
ウォーキングシューズはとても軽く、足にフィットするように作られています。長時間歩いても足に負担がかかりにくい構造になっているので、痛みなどのトラブルが起こりにくく、快適に歩くことができます。
運動用の服は、通気性が良く汗を吸収しやすいなど、運動に配慮した機能が備わっています。汗への対処や体温調節の面では、アンダーシャツはとくに重要です。運動用のアンダーシャツを着ていないと、汗ではりついて不快になるだけでなく、体が冷えたり、体温をうまく下げられなくなったりして、体調を崩してしまうことがあります。
ダイエット目的で運動を始める人は、すぐに結果を出したいあまりに無理をしやすいです。「長い距離、長い時間歩いたら、想像以上に苦しかった」「たくさん歩いたら、足首が痛くなった」など、苦しさから続かなくなったり、ケガや体調不良で続けられなくなったりすることも少なくありません。
ウォーキングの結果はすぐに出るわけではなく、ある程度長く継続することで得られるものです。最初は絶対に無理をせず、自分が苦しく感じない程度、体がツラくない程度の距離からスタートしましょう。
最初は「理想の距離よりも少ない」と心配になるかもしれませんが、毎日続けて体力がついてくれば、少しずつ距離を伸ばしながら理想に近づけることができます。また、無理のない目標を達成し続けて成功体験を重ねることは、自信の獲得やモチベーションの維持にも役立ちます。
ケガなどのトラブルを防ぐためには、ウォーミングアップとクールダウンが大切です。ウォーキングを始める前は、しっかりとストレッチを行い、軽く体を動かして筋肉を目覚めさせておきましょう。ウォーキングが終わっても、すぐに座り込んだりせず、ゆったりしたペースで体操をしたり、ストレッチで全身の筋肉をほぐすようにしてください。
また、ウォーキングが終わった後のケアも重要です。足が張っていると感じたらアイシング(氷や水でその部分を冷やす)を行ったり、少し多めにストレッチしたりするなどして、念入りにケアをしましょう。
ウォーキングのために時間を別に確保することは、生活リズムを見直すきっかけになります。また、朝のウォーキングは、生活リズムを整える良いきっかけになるでしょう。そういった意味では、朝のウォーキングを検討してもいいかもしれません。ただし、あくまでも負担にならない範囲で行うことが大前提です。
ウォーキングは朝の時間帯が良い、ナイトウォーキングが良いなど、さまざまな意見がありますが、もっとも大切なことは自分が続けやすい時間帯を選ぶことです。仕事の都合など、自分自身のライフスタイルを考慮した「続けやすい時間帯」を選ぶようにしてください。
ウォーキングは、酸素を取り入れながら行う有酸素運動です。脂肪燃焼効果や血流改善効果などが期待でき、ダイエットはもちろん、脳細胞の活性化や心肺機能の強化などにも役立ちます。
積極的に取り組んでほしいですが、今まで運動習慣がなかった人がいきなり長い時間や長い距離を歩くと長続きしませんし、思わぬケガの原因になることもあります。まずは無理のない距離、時間から始め、慣れてきてから少しずつ距離や時間を増やすようにしてください。