記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
COPDとは、気管支や肺などの呼吸器官が傷ついたり炎症を起こしたりして何らかの障害が起こり、呼吸機能が低下する疾患のことです。多くはタバコの煙(有害物質)が原因とされ、動いたときに息苦しくなったり、咳や痰がずっと続いたりするのが特徴です。
COPDと診断されたら、どのような薬を使って治療するのでしょうか?また、ワクチン接種も推奨されますが、それはなぜなのでしょうか?
COPDの症状を軽減したり、他の疾患を引き起こしたり、生命を脅かしたりするリスクを下げるためには、まず禁煙がもっとも重要です。タバコには有害物質がおよそ200種類も含まれていて、喫煙を続ける限りこの有害物質が気道や肺を傷つけ、炎症を引き起こし続けてしまいます。喫煙をしている限り疾患が進行し続けるため、喫煙をする人はきっぱりタバコを止めることが最初の一歩です。
タバコのニコチンによる依存性が強く、なかなかタバコがやめられないという人は、禁煙補助薬と呼ばれるニコチンパッチやニコチンガムなどを使うのも一つの方法です。これらは市販されていますので、薬局などでも購入できます。また、禁煙外来に通い、専門医の指導のもとで非ニコチン製剤の飲み薬を使って禁煙する方法もあります。
こうした薬物療法による禁煙治療は、喫煙年数や1日の吸う本数などによっては保険適用の対象になる場合もあります。気になる場合は一度、医療機関に問い合わせてみると良いでしょう。
COPDでは気管支が収縮し、呼吸が苦しくなります。ですから、薬物療法で使われる薬は、気管支を広げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」が中心となります。気管支拡張薬には、以下のような種類があります。
その他、以下のような薬が使われることもあります。喀痰調整薬とは痰を取る薬、抗生物質は感染症を予防するために使われます。
以前は長期間作用性β2刺激薬とステロイド薬を併用することもありましたが、現在では息切れなどの症状が強く憎悪を起こしやすい場合のみ(喘息とCOPDの合併症など)に推奨され、他の場合には推奨・適応されなくなりました。
COPDの患者さんは、感染症にかかると重症化しやすく、さらにCOPD自体も悪化しやすくなります。そのため、感染する前にワクチン接種しておくことが大切です。とくに、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの2種類は摂取しておいた方が良いでしょう。
とくに、インフルエンザワクチンは重篤な悪化を起こりにくくさせ、死亡率を約50%も減少させるという報告があります。さらに、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを併用すると、インフルエンザワクチン単独で使った場合に比べ、COPD悪化の頻度が減少する(※感染症由来のもののみ)ことがわかっています。
できるだけ、すべてのCOPD患者さんと家族や介助者の人が接種するようにしましょう。
COPDの治療には、主に気管支拡張薬が使われます。COPDは肺にダメージがあるのはもちろんですが、気管支へのダメージによって気管支が収縮し、呼吸困難の症状が現れるため、気管支を拡げることで呼吸を楽にします。
症状が軽い場合には短時間作用性の薬剤を使いますが、毎日定期的に服用する場合は長時間作用性の薬剤を使います。その他、必要に応じて喀痰調整薬や抗生物質などを使う場合もあります。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。