記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
エペリゾンとは、薬品名ではなく成分名の1つで、脊髄の中枢神経系に作用します。日本での先発薬は1983年に販売開始されたため、既に30年以上が経過し、たくさんのジェネリック医薬品が販売されています。
そんなエペリゾンは、体内でどのように作用する成分なのでしょうか?また、副作用や服用時の注意点には、どんなことがあるのでしょうか?
エペリゾンは鎮痙剤(けいれんを鎮める薬)のひとつで、中枢神経系に作用して筋肉を緊張させている神経を鎮め、血管平滑筋(収縮・弛緩して血管の太さを変える)をゆるめて筋肉の血流を改善します。この作用によって、筋肉のコリやこわばりがとれ、痛みがやわらぎます。同じ種類の薬の中では効き目が穏やかで副作用も比較的少ないため、各診療科で広く使われています。
軽い鎮静・催眠作用もあることから、脳血管障害や外傷後遺症などにも使われることがあります。しかし、効き目が穏やかな分、他の鎮痙剤と比べて鎮静作用や催眠作用が弱いため、眠らない状態で抗けいれん治療を行いたい患者さんに対して有用な選択肢です。
具体的にエペリゾンを処方されるのは、主に痙性麻痺などの筋肉がこわばる疾患、腰痛、手足のこわばり、ひどい肩こり、五十肩、緊張型頭痛などです。
エペリゾン(エペリゾン塩酸塩)を配合した薬には、先発薬として発売された「ミオナール®」の錠剤と顆粒薬があります。錠剤は通常、1日3錠を3回に分けて食後に経口で服用し、顆粒は1日1.5gを3回に分けて同様に食後に服用します。年齢や症状によって適宜増減されますので、服用する際には医師の指示をしっかり守りましょう。
また、エペリゾンには後発のジェネリック医薬品もあり、いずれも錠剤が多数の製薬メーカーから発売されています。
エペリゾンの副作用は少ないですが、ときに「脱力感・ふらつき・眠気」などの作用がみられることがあります。これは鎮静・催眠作用によるもので、基本的には弱いものですが、ひどい場合は減量や休薬などの措置をとることもありますので、医師に相談しましょう。また、服用中は車の運転や機械の操作など危険を伴う作業を行わないようにしてください。
また、頻度は高くありませんが、食欲不振や吐き気などの胃腸症状、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が出る可能性もありますので、このような症状がみられた場合は医師に相談しましょう。そのほか、めったにみられませんが、重い副作用として以下の2つが考えられます。念のため、初期症状などに十分注意してください。
このほか、持病やアレルギーがある場合、服用中の薬がある場合は、診察時に医師に伝えましょう。とくに、筋弛緩剤の一種であるメトカルバモールは、エペリゾン塩酸塩と似たトルペリゾン塩酸塩と併用した際に眼の調節障害が現れたという報告がありますので、併用は避けておいた方が良いでしょう。
また、もともと肝機能が低下している人は、悪化することがあるため慎重に使います。高齢者も同様に、臓器や生理機能が全体的に低下していることから、副作用を起こさないよう少なめに使うなどの配慮をします。小児に対しても安全性が確立していないため、基本的には使いません。
妊娠中、またはその可能性がある人に対しては、安全性が確立されていないため、治療のメリットがリスクよりも高いと判断されたときのみ使用します。授乳中の人への投与も基本的に避けますが、どうしても必要があって投与する場合は、服用中の授乳を中止してもらいます。
エペリゾンは鎮痙剤と呼ばれる薬の一種で、筋肉を緊張させている中枢神経系に作用し、血管の筋肉をゆるめて血流を良くします。これによって、筋肉のコリやこわばりをとり、痛みをやわらげることができます。
副作用は少ないですが、軽い鎮静・催眠作用があることから、眠気・脱力感・ふらつきなどが現れることがあります。服用中、車の運転や機械の操作などは避けておきましょう。