高熱を起こす赤ちゃんの急性中耳炎

2017/4/19

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

赤ちゃんが高熱を起こし、しきりと耳に手をやっている・・・そんなときは急性中耳炎かもしれません。急性中耳炎は、中耳が炎症を起こすことで起こり、鼓膜の赤みと膨らみ、痛みとともに39~40℃の高熱を起こすことがある赤ちゃんに多い病気です。ここでは、高熱を起こす赤ちゃんの急性中耳炎についてお話します。

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赤ちゃんの急性中耳炎とは

急性中耳炎(acute otitis media)とは、風邪などの上気道感染が原因で鼓膜の内側(中耳)にウイルスや細菌が入って炎症を起こすことをいいます。
耳の痛みや聴こえにくいなどの一時的な聴力損失は、中耳の圧迫から起こります。また高熱は、身体がウイルスや細菌と闘っているために起こります。ほとんどの赤ちゃんでは、2歳になるまでに少なくとも1回は急性中耳炎を経験するといわれています。なかには、何回も繰り返す慢性化膿性中耳炎(chronic suppurative otitis media)になる赤ちゃんもいます。

急性中耳炎の原因は、はっきりとはわかっていませんが、以下のような要因がリスクとして考えられています。
・中耳炎の家族歴がある
・喫煙者と一緒に住んでいる
・寝ている状態で人工乳(ミルク)を与えている (母乳とは異なり、寝た姿勢での授乳でミルクが中耳に流れ込むことが感染の原因となっているともいわれています)

どのような症状がみられますか?

以下のような症状がみられたときは、急性中耳炎を疑ってみましょう。
・耳を引っ張ったり、頭を叩いたりしている
・耳の痛みや頭痛を訴える
・いつもよりも激しく泣く
・夜間に目覚める(横になると耳の圧力が変化し、夜間に痛みが悪化するため)
・声や音に反応しない
・不機嫌で興奮している
・高熱(39~40℃)
・めまい(いつもよりもつまずき、物にぶつかったりする)
・横になったり、噛んだり、吸ったりするときに不機嫌になっている(これらの痛みは圧力変化が原因かもしれません)
・食欲の減退
・透明または血の混じった膿(うみ)が耳から垂れる
・耳の中やまわりが皮のような膜で覆われている

どのようなときに起こりますか?

風邪、咽喉(のど)の痛み、耳垢(みみあか)の蓄積、副鼻腔(ふくびくう)や歯の感染症、石けんやシャンプーの残液が耳の中に残ったり、綿棒による刺激が原因となっていることもあります。

急性中耳炎が長引くと・・・

慢性中耳炎

1年に1~2回ほどの急性中耳炎はよくみられます。しかし、1年に4回、半年に3回などのペースで起こるようであれば、慢性中耳炎の可能性があります。慢性中耳炎は、急性中耳炎が治りきっていなかったり、急性中耳炎の再発であることもあります。

滲出性中耳炎

急性中耳炎の治療後も滲出(しんしゅつ)液が耳に長時間残っているときは、滲出性中耳炎(serous otitis media)が考えられます。通常、4〜6週間で軽快しますが一時的な難聴を起こす可能性があります。この状態のまま何カ月も治療されていないと、難聴が永続的になる可能性があるため、さらなる検査を受けることが重要です。

おわりに:赤ちゃんの高熱と鼻水は要注意!

赤ちゃんによくみられる急性中耳炎は、しっかりと治療しなければ難聴を起こすこともある病気です。小さな赤ちゃんの耳はまだまだ成長途中です。いろいろなウイルスや細菌の危険に曝されています。赤ちゃんの高熱とグシュグシュ鼻水には気をつけましょう!

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