子どもの腰痛の原因と対処法とは

2024/12/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腰痛は大人に多い困りごとですが、最近は腰痛を発症する子どもが増えているといわれています。この記事では、子どもの腰痛の原因とセルフケアにおすすめのストレッチ、病気で起こっている可能性について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

子どもの腰痛が増えている原因は?

子どもの腰痛と肩こりは、近年悩む人が増えてきているといわれています。子どもの腰痛は、以下のような理由から姿勢が悪くなったり、ストレスが蓄積したりすることが原因で起こると考えられています。

子どもの腰痛が増える原因
  • 勉強のために、長時間座ることが増えてきた
  • スマホやゲームを長時間行うために、前かがみで過ごす時間が多くなった
  • 学校や塾に持っていく荷物が重すぎて、体に過度な負担がかかっている
  • 勉強や友人関係などにストレスがあり、背骨がゆがんでしまっている

上記のような原因から子どもが腰痛を発症するのを避けるために、以下のチェックポイントを参考に、日ごろから子どもの姿勢を観察するようにしてください。

チェックポイント
  • 他の子どもと比べたとき、不自然な姿勢で立っていないか
  • 座っているとき、日常的に前かがみの姿勢になっていないか
  • 首を左右に傾ける、肩をすくめる、腰を左右に捻るなどの動きをしていないか

姿勢の悪さの解消におすすめのストレット

姿勢の悪いことに気づいたときは、常におなかを引っ込め、背中をまっすぐ伸ばすように伝えるなどしてあげましょう。また、姿勢の悪さは、ストレッチで解消する場合があります。

肩・背中周りのストレッチ

  1. 肩幅くらいに足を開く
  2. 上半身を先方に倒す
  3. 右手を左ひざに、左手を右ひざに置く(両腕がクロスした状態になる)
  4. この状態を20秒キープする

肩・腰周りのストレッチ

  1. 仰向けなる
  2. 両腕を体側から60度くらいに開き、手のひらを床につける
  3. 右足の膝を左足の太ももの上に乗せるように足を組む
  4. 両足を左側に倒し、20秒キープする(右側の腰回りをストレッチする)
  5. 反対側も同様に20秒キープする(左側の腰回りをストレッチする)

肩・お尻周りのストレッチ

  1. 仰向けになる
  2. 右膝を曲げ、両腕で胸に引き寄せるように抱え、20秒間キープする
  3. 左膝を曲げ、両腕で胸に引き寄せるように抱え、20秒間キープする

足のストレッチ

  1. 両足をまっすぐ伸ばした状態で床に座る
  2. 上半身を前に倒し、両手でつま先を触り、20秒キープする

子どもが腰痛を訴えた場合に考えられる病気

ここまでに紹介してきた姿勢の悪さや体への過負荷以外にも、何らかの病気や障害が原因の可能性もあります。例えば、腰椎分離症による腰痛は、運動部の子どもに起こりやすいといわれています。腰椎分離症とは、第5腰椎を中心に腰の椎弓(ついきゅう)と呼ばれる骨の一部が疲労骨折し、以下のような症状を発するケガの一種です。

腰椎分離症の主な症状
そのときの姿勢にかかわらない腰痛、お尻の痛み、ももの外側のにぶい痛みやだるさ

治療するには一定の時間がかかり、その間は運動を休ませなければなりません。子ども本人は嫌がり、焦りを感じるかもしれませんが、放っておくと大人になっても度々痛みを起こす原因となるので、子どものうちにきちんと治療を受けさせる必要があります。子どもが腰痛を訴えている場合や腰を痛がる素振りを見せている場合は、早めに病院を受診させましょう。

なお、腰痛の以外にしこりなどの病変・痛みやしびれ・動かせないなどの異常・吐き気を伴う頭痛・原因不明の発熱・出血が見られるときは深刻な病気が原因の可能性があります。腰痛以外にも気になる症状を併発している場合が、すぐに病院を受診させましょう。

おわりに:子どもでも腰痛になることはある。セルフケアだけに頼らず早めに病院へ

腰痛は大人がなるものというイメージがあるかもしれませんが、子どもでも腰痛になることはあります。子どもの腰痛は、姿勢の悪さや日ごろ持ち歩く荷物が重すぎることによる体への過負荷、ストレスが原因となっていることも多く、最近は増加傾向になるといわれています。ただし、運動部の子どもでは腰椎分離症などを起こす可能性があり、悪性腫瘍などの深刻な病気が原因の可能性もあります。セルフケアに頼るだけでなく、まずは病院を受診し、腰痛の原因を調べてもらいましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

子供の腰痛(1) 子供の姿勢(1)