生牡蠣に含まれる、意外に知られていない栄養素とは?
2017/4/19 記事改定日: 2019/8/29
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生牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれていることもあり、牛乳のように栄養バランスがとれた食べ物のイメージがあると思います。でも、具体的にどんな栄養が摂れるのかを考えると、意外と思い浮かばないのではないでしょうか。この記事では、加工した牡蠣の栄養素と比較しながら、生牡蠣に含まれる栄養素をご紹介します。
生牡蠣の栄養素は?
生牡蠣100グラム(可食部)あたりのカロリーは60キロカロリー、脂質は1.4グラム、タンパク質は6.6グラムで、高たんぱく、低脂肪、低カロリーの食材です。また、生牡蠣にはさまざまな必須ミネラル(カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、銅、マンガンなど)やタウリンも含まれています。
生牡蠣の注目すべき点は、あらゆる食材の中で最も多く亜鉛を含んでいることです。生牡蠣に含まれる亜鉛の量は100グラムあたり13.2グラムで、2番目に亜鉛の多い食材(豚のレバー)の4.5倍もあります。また、ビタミンの中でもとりわけB12 が多く、その量は100グラムあたり28.1マイクログラム(ひも付きのホタテの2.4倍)含んでいます。
缶詰の牡蠣とはどう違う?
新鮮な生牡蠣がなかなか手に入らないとき、代わりに牡蠣の缶詰を食べても生牡蠣に匹敵するくらいの栄養を摂ることができるのか、東京都港区でオイスターバー「Vinoble」を経営するオーナーシェフの濱岡靖示さんに伺ってみました。
濱岡さんのお話
栄養素だけ見れば、缶詰の牡蠣は生牡蠣と同じく、低脂肪で高タンパク質の栄養素です。しかし、生牡蠣よりカロリーや脂質が高く、カルシウムは少なめです。また、鉄分やカリウム、リン、マグネシウム、ビタミンB群については、缶詰の牡蠣のほうが生牡蠣より豊富です。ただし、缶詰を作る過程で酸を加えるため、生牡蠣の本来の風味などは失われてしまいます。
ここまで聞くと、手間を考えたら缶詰の牡蠣もそんなに悪くないかもと思うかもしれません。しかし、上記に挙げた栄養素は、そのほとんどが缶詰の残り汁の中に溶け出ています。これは、栄養素の中には、ビタミンB12のように水にさらされると溶け出てしまったり、缶詰工程中に加熱されて壊れてしまうものがあるためです。
つまり、缶詰の牡蠣を食べる場合は、牡蠣の身だけでなく、残り汁も一緒に食べないと栄養を吸収できないのです。しかし、残り汁を全部飲んでしまうと塩分を摂り過ぎてしまうリスクがあります。したがって、缶詰の牡蠣を食べても生牡蠣ほど栄養素を効果的に吸収することができないのです。
燻製した牡蠣とはどう違う?
それでは、生牡蠣の代わりに燻製した牡蠣のオリーブオイル漬けを食べた場合、栄養面でどのような違いがあるのでしょうか。こちらも濱岡さんに伺ってみました。
濱岡さんのお話
燻製した牡蠣には、生牡蠣とほぼ同じ栄養素が詰まっています。その量は、カリウムやカルシウムは生牡蠣より少ないものの、リンや鉄、亜鉛などは生牡蠣より豊富に含んでいます。
一見すると生牡蠣よりもよさそうに見えますが、燻製した牡蠣はカロリーが高い(100グラムあたり298キロカロリー。生牡蠣の約5倍)ため、燻製した牡蠣で生牡蠣に匹敵する栄養を摂るためにはカロリーを摂り過ぎてしまう可能性が高いです。
生牡蠣が苦手な方には、おつまみとしてお出ししたりすると非常に喜ばれますが、生牡蠣に抵抗がない方には、きれいな海で育った新鮮な生牡蠣が一番だと思います。
Vinoble店舗情報
所在地: 東京都港区赤坂2-11-13 コモン赤坂 1F
TEL: 03-6441-3135
URL: http://www.vinoble.jp/
おわりに:栄養を効率的に摂るには、生牡蠣で食べるのがいちばん
- 生牡蠣は、缶詰や燻製したものに比べてカロリー控えめで、栄養バランスもよい食べ物
- あらゆる食材の中で、亜鉛の含有量が最も多いのも魅力のひとつ
生牡蠣に抵抗がないようでしたら、缶詰や燻製ではなく、生で食べてみてください。