寒い冬こそ要注意!ヒートショックから身を守ろう

2020/1/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ヒートショックは心筋梗塞や脳梗塞などを招く危険性があり、時には命に関わる症状です。この記事では、ヒートショックの原因や発症しやすい人、予防策などをご紹介します。

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ヒートショックとは

ヒートショックとは、温度差によって引き起こされる肉体的なショック症状です。

暖房の効いた暖かい部屋から冷たいところへ移動したとき、心臓などに大きな負担がかかります。温度変化が急激になると血圧が一気に上下変動するため、心臓や全身の血管に異常を引き起こしやすくなります。ヒートショックは特に冬に起こりやすいことがわかっています。たとえば、冷え切った浴室で熱いシャワーを浴びたときに血圧が急変動し失神が起こるケースがあります。

ヒートショックを起こすと、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、不整脈が発生する可能性が高まります。軽めの失神やめまいが起こることもあるため、注意が必要です。

冬にヒートショックが起こりやすいのはどうして?

ヒートショックの主な原因は温度差です。暖房をつけている部屋と暖房をつけていない浴室やトイレとの温度差は、真冬の屋内では10℃以上ともいわれています。温度差が大きいと、体内では以下のような変化が起こります。

暖かいところから寒いところへ移動

  • 体が急激な温度変化を感じ、体温調節しようとする
  • 筋肉をブルブルと震わせて熱を産生する
  • 血管を細くして血流を下げ、熱の放出を小さくする
  • 血管が縮んだ結果、血圧が急上昇する

寒いところから暖かいところに移動

  • 血管が拡張し、血圧が急低下する

暖かいところと寒いところを行き来すると、血圧が大きく変動します。血圧の変動が最も起こりやすいのは入浴で、暖かい部屋から寒い浴室へ移動し、すぐに熱い湯船に入ることで血圧が急変動します。

ヒートショックに気をつけたほうがいい人は?

以下に、ヒートショックを起こしやすい人をご紹介します。

高齢者
65歳以上の人は、性別や既往歴などに関わらずヒートショックへの注意が必要です。年齢を重ねるにつれて血管は弱くなり、動脈硬化が発生していることが多いためです
疾患のある人
高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、動脈硬化が進行している人は、ヒートショックによる影響が大きくなります
熱い湯船を好む人
浴室と湯船の温度差が大きいと、ヒートショックが起こりやすくなります。熱い湯船が好きな人は、寒暖差が大きくなる季節に注意しましょう
お酒好きの人
入浴前に飲酒していると血管が拡張し、血圧が低下した状態になります
冷えやすい浴室の家に住んでいる人
タイル張りの浴室、窓のある浴室、断熱材が使用されていない浴室は、熱が外へ逃げやすく、冷えやすい構造をしています。築年数の長い家も冷えやすい場合があります

ヒートショックを予防するには?

ヒートショックを予防するためには、血圧の急激な変動を防ぐことが欠かせません。普段から血液をサラサラに保って血流を良好な状態に保つことに加えて、下記の対策を実践してみてください。

入浴時の予防法

  • 入浴前後に水分補給して血液をサラサラに保つ
  • 入浴は食後1時間以上空けてからにする
  • 飲酒は入浴後にする
  • 湯船にいきなり入らず、心臓から遠い手足のかけ湯などで徐々に体を温める
  • 湯船はぬるめ(38~40℃くらい)に設定する
  • 長湯は心臓に負担をかけるので控える
  • 湯船を出る時は急に立ち上がらない
  • 入浴中、ときどきほかの人に声をかけてもらって安全を確認する

お風呂場の環境改善

  • 脱衣所に暖房器具を設置する
  • 浴室に暖房機能を設置する
  • お湯を張った湯船の蓋を開けて、浴室内に暖かい空気をめぐらせる
  • 浴室に手すりをつけて転倒防止する

トイレの予防法

  • トイレに暖房器具を置いて寒暖差を小さくする
  • いきみすぎは心臓に負担をかけるので控える
  • ヒートショックのリスクが高い人の寝室をトイレの近くにする

おわりに:ヒートショックの予防は、本人や家族の注意意識と環境改善が大切です

寒暖差の大きい冬に起こりやすいヒートショックは、高齢者や既往歴のある人は特に注意が必要です。冷えやすい浴室やトイレはヒートショックを引き起こす危険性が高い場所です。暖房器具を設置したり、転倒を防ぐ器具を設置したりして、ヒートショックや、それに伴うケガを防ぐようにしましょう。

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