死別から立ち直るために ~ 病気や事故で愛する人を失ったら ~

2017/1/19 記事改定日: 2018/2/15
記事改定回数:2回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

病気や事故などで、家族や大切な友人など、愛する人と死別したとき、その悲しみから立ち直るには時間が必要です。でも、ただ時間が経てば悲しみが癒え、以前のように過ごせるとは限りません。この記事では、死別から立ち直るまでの感情の変化や、立ち直るためのヒントをご紹介します。少しでもお役に立てば幸いです。

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死別から立ち直るまで、感情は段階的に変化する

専門家によると、家族や友人など、大切な人が亡くなった後、その死から立ち直るまでの感情の変化には4つの段階があると言われています。

第1段階:亡くなった現実を受け入れようとする
第2段階:深い悲しみに直面する
第3段階:亡くなった人がいない生活に慣れようとする
第4段階:悲しみに沈む時間を減らし、前を向く時間を増やす

大切な人を失ったとき、これらすべての段階を経験すると思います。失った悲しみやつらさは少しずつ癒えていくと思いますが、場合によっては感情をコントロールできないくらい、深く、激しい悲しみに襲われるかもしれません。このような場合、必ずしも次の段階にスムーズに移行しないときもあります。

死別の悲しみを聞いてもらう

死別の悲しみから立ち直れないとき、誰にも会いたくないと思いがちです。同じところに留まって、悲しみに浸り続けたいときもあるかもしれません。そのようなとき、気持ちが落ち着くまで涙を流し続けてもかまいません。でも、落ち着いてきたらひとりで抱え込まず、誰かに話を聞いてもらいましょう。
自分の気持ちを誰かに話すことが、死別から立ち直るのに役立ちます。グリーフケア(死別の悲しみから立ち直れるよう、相手に寄り添って支援すること)を専門とするカウンセラーや医師のもとを訪ねてみるのもよいかもしれません。
カウンセラーは、死別の悲しみだけでなく、人間関係や家族のこと、仕事、今抱えている不安、将来のことなど、幅広く、時間をかけてじっくり話を聞いてくれます。亡くなった直後に限らず、死別からかなり時間が経っていても、カウンセラーに相談することで心の回復を促してくれます。

自分から亡くなった人のことを話題にする

周りの人は、本当は亡くなった人のことを話したいのに、あなたを傷つけてはいけないと思って、あえてその話題に触れないようにしていることがあります。中には、あなたと同じようにさみしさや辛さを抱えているのに、それを打ち明けられない人がいるかもしれません。
勇気を出して、自分から亡くなった人のことを話してみましょう。少しずつ、楽しかった思い出や、みんなが明るい気持ちになれそうな出来事を話してみてください。

死別の悲しみから立ち直るきっかけがつかめないとき

多くの人は、死別から1年半ぐらい経つと、亡くなった人のことが忘れられないといった状態から抜け出せると思います。でも、時間が経っても以下のような状態が続いているときは、カウンセラーや医師に助けを求めてください。

・朝、ベッドから起き上がれない
・家事や家族の世話が全くできない
・感情が激しくゆらいで仕事がままならない
・過程や職場などで怒りをぶつけてしまう

死別を経験した子供のサポート

身近に両親や兄弟と死別した経験を持つ子どもがいる場合、その死を受け入れる心の準備を手助けすることができます。子供に死を理解させることは難しいものですが、サポートしてあげることで、子供のストレスを和らげることができます。
食べることをやめられない、もしくは何も食べようとしない、情緒不安定になっているなど、子供が発する小さなサインを見逃さないようにして、温かく支えてあげてください。

おわりに:無理に立ち直ろうとしないこと、つらいときは周囲の人の力を借りることが大切

死別の悲しみから無理に立ち直ろうとすると、かえって心が不安定になってしまう可能性があります。自然に前を向けそうな気持ちがこみ上げてくるまで、涙を流したり、辛い気持ちを抱えていてもよいのです。でも、どうしてもつらいときは周囲の人やカウンセラー、医師の協力を得ながら、少しずつ心を立て直していきましょう。

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