記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「皮膚」は、私たちのからだのいちばん外側にあり、からだを保護しています。皮膚が傷つくことでよく起こる皮膚トラブルを集めてみました。
皮膚の病気でいちばんよく登場するのが「湿疹」でしょう。なかでも多くの子どもたちを悩ませるのがアトピー性皮膚炎です。そのほとんどは長期的な症状ですが、子どもが成長していくにつれて改善されていきます。
湿疹は、からだのどの部分にも発症しますが、以下の部位に多くみられます。
・膝の前部または後部
・肘の外側または内側
・首、手、頬または頭皮のまわり
保湿剤や局所ステロイド薬を使用するなどの治療は、症状を緩和するのに役立ちます。
ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。
唇または口のまわりに発生する小さな水疱がみらます。口のまわりがうずき、かゆみや灼熱感で症状が始まります。液体で満たされた小水疱の多くは下唇の縁にあらわれます。
ヘルペスは7〜10日以内に治療しなくても自然に消退しますが、市販の抗ウイルス軟膏は、症状を軽減し、治癒時間を早めるのに役立ちます。
じんましんは、盛り上がったかゆみのある発疹です。
発疹が、からだの一部にあらわれたり広い部分に広がります。
発疹は、数日以内に改善するため治療は必要ありません。かゆみが不快な場合は、市販の抗ヒスタミン薬でも効果があります。購入にあたっては医師、薬剤師に相談してください。
また、症状が48時間以内に消えないときは医師の診察を受けてください。
伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)は、伝染性の強い皮膚感染症です。触ると火事の飛び火のように全身にあっという間にひろがることから一般的に「とびひ」といわれています。
傷や水疱を伴い、ブドウ球菌が原因で水疱ができるタイプと、溶血性連鎖球菌が原因で厚いかさぶたがついて炎症の強いタイプがあります。子どもに多くみられますが、だれにでも感染することがあります。
感染は3週間以内に完全に治まりますが、症状が似ているほかの疾患もあるので、症状に気づいたら早急に医師の診察を受けてください。抗生物質の軟膏または錠剤で治療されます。
乾癬(かんせん)は、銀色の鱗屑で覆われた鱗片状の赤い斑点を伴う皮膚感染症です。
斑点は肘、膝、腰にあらわれ、かゆみや痛みを伴うことがあります。その症状は、少しかゆいだけから、日常生活に大きな影響を与えるほどの症状を呈する人もいますが、多くは症状がないか、または軽度から重篤な期間へと続きます。
治療には以下のようなものがあります。
・クリームおよび軟膏
・光による治療(光線療法)
・経口または注射薬
乾癬は自然に消退しますが、治療によって症状が改善する可能性があります。重篤な場合は皮膚科医の診察を受けてください。
水虫・たむしなどは、白癬(はくせん)と呼ばれる伝染性の真菌感染症です。
リング状で赤色または銀色の鱗状の発疹で、からだのどこにでもあらわれることがありますが、腕と脚でよくみられます。だれでも白癬にかかりますが、子どもでより一般的です。
市販の抗真菌軟膏、粉または錠剤で治療することができます。白癬であるかどうかわからない場合、または2週間薬局の治療を受けた後に感染が治癒しない場合は、医師に診てもらう必要があります。
疥癬(かいせん)は、皮膚に穿孔する小さなダニによって引き起こされる伝染性の皮膚病です。
夜になると激しいかゆみがあり、赤い斑点状の発疹があります。
疥癬があると思ったら、医師を受診してください。それほど深刻なものではありませんが、疥癬のダニを殺すためには、軟膏やローションなどの治療が必要です。
皮膚に淡い白い斑点を伴いますが伝染病ではありません。
斑点の大きさは様々で、どこでも発生する可能性があります。顔や手のような日光にさらされている部分や、濃い色の肌や日焼けの部分では、より目立ちます。白斑が頭皮にある場合、髪が白髪になります。
白斑は長期的な病です。白斑が疑われるときは、医師の診察を受けてください。治療は、肌の外観を改善することを目的に、以下のようなものがあります。
・着色クリームで白くなった肌の部分を隠す
・ステロイド軟膏
・光で治療する(光線療法)
疣贅(ゆうぜい)は、小さな塊で「いぼ」と呼ばれています。
「いぼ」は、からだのどこにでもあらわれますが手と足に頻発します。
ほとんどの「いぼ」は無害で、治療を受けなくてもきれいに治りますが、痛みを伴う場合や、不快感、恥ずかしさを感じるときは治療も考慮します。 治療には以下の方法があります。
・サリチル酸
・冷凍させる(寒冷療法)
・粘着テープ(ダクトテープ)
・化学治療
皮膚トラブルは見た目に影響することがあり、QOLを低下させることがあります。原因と症状を知り、適切な治療を受けることが大切です。かゆいからといってかきむしる前に、早めに皮膚科医に診てもらうほうがいいでしょう。