記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/3/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
発症している認知症の種類によっては、症状のひとつとして被害妄想や、妄想による家族・介護者への暴言などが現れることがあります。この記事では、認知症によってどのような被害妄想が現れやすいのかや、その特徴や周囲の適切な対処法などについて解説します。
認知症の人の被害妄想は、認知症が進むことや老化への不安、周囲への不満、日ごろの寂しさや尊厳が傷つけられたと感じた悲しみなど、複数の感情から生じるとされます。認知症の人が抱きやすい被害妄想のパターンとして、以下が挙げられます。
ご近所さんや家族など、身近な人にカギや財布、現金など「私の大切なものを盗まれた!」と妄想するタイプです。本人の記憶違いで大切なものの置き場所を忘れてしまったことへの羞恥心や、以下のような理由から自尊心を傷つけられたと感じたことがきっかけで起こると考えられています。
家族や介護をしてくれている周囲の人に「みんなが私に怒って、悪口を言っている」「のけ者にして、虐待してくる」などの妄想を抱くタイプです。このような妄想は、以下のような思考になることで起こると考えられています。
いずれも認知症による認知能力の低下や感情の暴走によって起こるものですが、警察などに訴えられると家族が虐待の疑いをかけられ、大事になることもあるようです。
配偶者が浮気をしている、または、特定の人物が家に度々侵入しているなど、対人関係にまつわる妄想をしてしまうタイプです。たとえば、「特定の若い男が、しょっちゅう家に来て勝手に食事している」「夫が息子の嫁と不倫している」など、非現実的ながら生々しい妄想をします。このような妄想の背景には、以下のような心理・原因が隠れていると考えられます。
認知症による被害妄想は、家族や介護サービス事業者、近隣の人など身近な人に対して行われるケースが多いです。以下、自分が認知症による被害妄想の登場人物になった、または認知症の人の被害妄想を訴えられた場合の適切な対応方法をご紹介します。
認知症に被害妄想は、話を聞くだけでも、自分が妄想の対象となるのも辛いものです。一人で戦わずに、地域包括支援センターやケアマネジャーの助けを借りましょう。
認知症の人の中には、症状として物盗られや虐待、対人関係にトラブルがあるなどの被害妄想をすることがあります。これらの多くは、認知症で脳の機能が低下し感情のコントロールが難しくなることで、老化や認知症への不安や負の感情が暴走した結果です。妄想に関する訴えをされたら、専門職の助けも借りつつ、まずは否定も肯定もせず話をすべて聞いてあげましょう。本人の感情や立場に着目することで、妄想症状が軽減することも期待できます。