記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
在宅介護では、家族、訪問介護員、訪問看護師、ケアマネジャー、医師、薬剤師など、複数の人が本人を支えます。それぞれが見ている時間や場面は異なるため、日々の様子を記録して共有することが大切です。
介護記録は、専門職だけが書くものではありません。家族が気づいた食事量、排泄、睡眠、痛み、気分、転倒しかけた場面なども、ケアの見直しに役立ちます。記録があると、受診時に状況を説明しやすくなり、急な変化にも気づきやすくなります。
大切なのは、長く詳しく書くことではなく、後から見ても状況がわかるように、事実を簡潔に残すことです。
記録では、見たこと、聞いたこと、測ったことをできるだけ具体的に書きます。たとえば「元気がない」とだけ書くより、「朝食を半分残した」「午前中は横になっている時間が長かった」「声をかけると返事はあるが会話が少ない」と書くほうが、状態が伝わりやすくなります。
本人の発言は、可能であれば言葉に近い形で残します。「腰が重い感じがする」「今日はトイレが近い」といった本人の訴えは、体調変化の手がかりになります。
一方で、「わがまま」「やる気がない」など、評価や決めつけに見える表現は避けましょう。介護をする側が困った場面でも、本人の背景に痛み、不安、眠気、便秘、薬の影響などがある場合があります。
記録を続けるには、項目を決めておくと負担が少なくなります。食事量、水分量、排泄、睡眠、服薬、体温、血圧、痛み、皮膚の状態、気分、歩行の様子などから、本人に必要なものを選びましょう。すべてを毎日細かく書く必要はありません。
たとえば、食欲低下が気になる人では食事量と水分量、便秘がある人では排便の回数と便の状態、転倒が心配な人では歩行やふらつき、夜間の様子を重点的に記録します。
変化があった日だけでなく、普段の状態も残しておくと、いつから変わったかを確認しやすくなります。介護職と家族で記録用紙やノートの形式をそろえると、情報共有がしやすくなります。
介護記録には、本人の健康状態や生活歴、家族関係など、個人的な情報が含まれます。共有する相手は、ケアに関わる家族や専門職など必要な範囲にとどめましょう。写真や動画を使う場合も、本人の尊厳やプライバシーに配慮が必要です。
共有の目的は、本人を管理することではなく、本人の希望に沿った支援をしやすくすることです。記録には、できなかったことだけでなく、できたこと、本人が安心した声かけ、好きな過ごし方も残しましょう。
医療や介護の専門職に相談するときは、記録をもとに「いつから」「どの場面で」「どのくらい続いているか」を伝えると、状況が整理されます。
記録を続けていると、急な変化に気づきやすくなります。食事や水分が急にとれなくなった、意識がぼんやりしている、呼吸が苦しそう、強い痛みを訴える、転倒後に動けない、発熱が続く、尿が出にくい、便に血が混じるなどの場合は、早めに医療機関や専門職に相談しましょう。
介護記録は、本人の生活を支えるための道具です。完璧に書くことを目指すより、必要な情報を無理なく続けて残すことが大切です。家族と専門職が同じ情報を見ながら話し合えると、介護の負担や不安を減らしやすくなります。