夜間の在宅介護で見守りやすくする環境づくり

2026/6/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

夜間介護は本人と家族の負担が重なりやすい

在宅介護では、夜間のトイレ、寝返り、物音、呼び出し、転倒への不安などにより、家族が十分に眠れないことがあります。本人も、暗い中で移動する不安や、家族を起こすことへの遠慮を感じている場合があります。夜間の介護は、日中よりも人手が少なく、判断に迷いやすい時間帯です。
夜間の見守りは、本人を常に監視することではありません。本人の安全を守りながら、家族や介護者も休息を取れるよう、環境と支援方法を整えることが大切です。無理を重ねると、介護者の体調不良や介護の継続困難につながることがあります。

夜間トイレへの動線を整える

夜間に多い困りごとのひとつがトイレ移動です。寝起きはふらつきやすく、暗い廊下、段差、床に置いた物、滑りやすい履物などが転倒の原因になります。寝室からトイレまでの道を確認し、足元灯を設置する、床の物を減らす、電気コードを避ける、手すりを使うなどの工夫をしましょう。
トイレまでの移動が難しい場合は、ポータブルトイレや尿器を使う方法もあります。ただし、本人の羞恥心やにおい、清掃の負担にも配慮が必要です。本人の希望を確認しながら、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると、生活に合う方法を検討しやすくなります。

睡眠を妨げにくい見守り方

心配だからといって、夜間に何度も部屋をのぞいたり、大きな声で確認したりすると、本人の睡眠が浅くなることがあります。見守りは、安全確認と睡眠の確保の両方を考えて行いましょう。
必要に応じて、離床センサー、見守り機器、呼び出しベルなどを使う方法もあります。機器は便利ですが、本人が不安に感じたり、音や光が睡眠の妨げになったりすることもあります。導入前に、何を確認したいのか、誰が対応するのか、夜間にどの程度の通知が必要かを整理しておくことが大切です。
家族だけで対応しようとせず、訪問介護や夜間対応型訪問介護などのサービスを検討することもできます。

夜間の混乱や不安への声かけ

認知機能の低下や体調不良がある人では、夜間に目が覚めたとき、自分がどこにいるかわからなくなったり、不安になったりすることがあります。暗さ、尿意、痛み、室温、空腹、薬の影響などが背景にある場合もあります。
声をかけるときは、短く落ち着いた言葉を使います。「今は夜です」「トイレに行きましょう」「ここに座りましょう」など、次の行動がわかる表現が役立ちます。否定や叱責は不安を強めることがあります。本人の訴えが事実と違っていても、まず不安を受け止め、安全を確保してから状況を整えましょう。

家族介護者の休息もケアの一部

夜間の見守りが続くと、家族介護者は慢性的な睡眠不足になりやすくなります。疲れがたまると、日中の判断力や介助動作にも影響します。本人のためにも、介護者が休む仕組みをつくることが大切です。ショートステイ、訪問介護、夜間対応型訪問介護、見守り機器の活用など、ケアマネジャーに相談しましょう。
夜間に転倒した、意識がぼんやりしている、呼吸が苦しそう、強い胸痛や頭痛がある、片側の手足が動かしにくいといった場合は、早めに医療機関や救急相談につなげます。夜間介護は抱え込まず、環境調整とサービス利用を組み合わせることが大切です。

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