記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
皮膚の表面には、体内の水分が失われるのを防ぎ、外部の刺激から体を守る働きがあります。この働きは皮膚のバリア機能と呼ばれます。
空気の乾燥、暖房や冷房の使用、熱い湯での入浴、洗浄剤の使いすぎなどにより、皮膚の水分や皮脂が失われると、バリア機能が低下しやすくなります。もともとの肌質や加齢、アトピー性皮膚炎などの病気、使用している薬が関係する場合もあります。
特に、すね、腰回り、背中、腕などは乾燥しやすい部位です。皮膚が白い粉を吹いたようになる、細かなひび割れができる、入浴後や就寝中にかゆくなるといった変化がみられることがあります。
乾燥が進むと、皮膚をかくことで小さな傷ができ、湿疹や感染につながる場合があります。見た目に大きな異常がなくても、かゆみやつっぱり感があるときは、早めにケアを始めることが大切です。
皮膚を清潔に保つことは必要ですが、強くこすったり、洗浄力の強い石けんを広い範囲に毎日使ったりすると、皮脂が必要以上に失われることがあります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、入浴やシャワーの湯温は、熱すぎない三十八度から四十度程度が目安として示されています。熱い湯は入浴後のかゆみを強めることがあるため、体調や肌の状態にも配慮しながら温度を調整します。
ナイロンタオルや硬いブラシで皮膚をこすることは避け、石けんや洗浄剤をよく泡立て、手のひらでやさしく洗います。脇の下、足、陰部など汚れやすい場所を中心に洗い、乾燥が強いすねや腕では、洗浄剤の使用を必要最小限にする方法もあります。
洗浄剤が残ると刺激になることがあるため、十分にすすぎます。入浴後はタオルでこすらず、皮膚を軽く押さえるように水分を拭き取ります。
乾燥肌のケアには、保湿剤の使用が役立つとされています。保湿剤には、皮膚の水分を保つものや、皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぐものがあります。製品によって使用感や成分が異なるため、肌の状態に合い、無理なく継続できるものを選ぶことが大切です。
保湿剤は、入浴後に皮膚の水分を拭き取った後、早めに塗ります。乾燥が強い場合は、朝の着替えや洗顔、清拭の後などにも塗ることがあります。塗る回数や量について医師から指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
塗るときは強くすり込まず、皮膚のしわに沿って手のひらでやさしく広げます。背中や腰など自分では塗りにくい場所は、家族や介助者に補助してもらう方法もあります。
尿素を含む製品は、ひび割れや傷のある場所では刺激を感じる場合があります。塗った後に赤み、痛み、腫れが出たときは使用を中止し、医師や薬剤師へ相談します。
冬季の暖房や空気の乾燥は、皮膚から水分が失われる原因になります。夏季も、冷房による乾燥や汗の刺激によって、かゆみが強くなることがあります。室温だけでなく湿度にも配慮し、必要に応じて加湿器を利用します。加湿器は定期的に清掃し、カビや細菌が増えないように管理してください。
衣類は、木綿など肌への刺激が少ない素材を選びます。羊毛やごわごわした衣類、縫い目やタグが皮膚に当たる衣類は、かゆみを強めることがあります。汗をかいたままにすると刺激になるため、衣類を交換するか、ぬれた柔らかい布で汗を押さえるように拭き取ります。
爪は短く整え、かいたときに皮膚を傷つけにくくします。就寝中や無意識のうちにかき続けてしまう場合は、保湿や室温の調整に加え、柔らかい長袖を着る方法があります。手袋を使用する場合は、締めつけや蒸れがないかを定期的に確認します。
着替え、入浴、洗顔などは、皮膚の変化を確認する機会になります。自分で確認しにくい人では、家族や介助者が赤み、湿疹、ひび割れ、水ぶくれ、傷、出血、腫れがないかを明るい場所で確認します。
特に、皮膚が重なる脇の下、乳房の下、腹部、足の付け根は、汗や湿気がたまりやすい場所です。足の指の間は水分を丁寧に拭き取り、水虫が疑われる皮むけやただれがないかを見ます。
おむつや尿取りパッドを使用している場合は、尿や便が長時間皮膚に触れないようにし、交換時に皮膚をやさしく清潔にします。汚れを落とそうとして強く拭くと、皮膚を傷つけることがあります。必要に応じて皮膚保護剤を使いますが、製品の選択は看護師や薬剤師へ相談すると安心です。
皮膚の状態を家族や支援者と共有するときは、赤い、荒れているという表現だけでなく、部位、範囲、色、痛みやかゆみの有無、いつから変化したかを記録します。
保湿や生活環境の調整を続けてもかゆみが改善しない場合は、皮膚科やかかりつけ医へ相談します。全身のかゆみには、皮膚の乾燥だけでなく、腎臓や肝臓、甲状腺などの病気や、薬の影響が関係することもあります。
赤みや湿疹が広がる、皮膚から液が出る、傷が化膿する、強い痛みや発熱を伴う場合は、早めの受診が必要です。新しい薬を使い始めた後に発疹が出た場合も、処方した医療機関へ速やかに連絡します。薬は自己判断で中止せず、対応を確認してください。
皮膚や唇の腫れ、息苦しさ、口や目の周囲のただれ、広い範囲の水ぶくれ、急速に広がる紫色の斑点がある場合は、救急要請を含めて対応します。
毎日のスキンケアでは、皮膚を清潔にすることだけでなく、うるおいを守り、小さな変化を早めに見つけることが重要です。肌の状態や生活習慣に配慮し、続けやすい洗浄と保湿を日常生活に取り入れましょう。