発熱に伴うけいれんが起きたときの見守り方と受診の目安

2026/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

発熱に伴ってけいれんが起こることがある

発熱している人が突然体を硬くしたり、手足を震わせたり、呼びかけに反応しなくなったりすると、周囲の人は強い不安を感じるものです。発熱に伴ってけいれんが起こる原因は年齢や状況によって異なり、乳幼児では「熱性けいれん」が代表的なものの一つです。

日本小児神経学会では、一般に生後6か月から5歳ごろまでの子どもに、発熱に伴って生じるけいれん発作を熱性けいれんとして説明しています。突然意識がなくなって手足を震わせる場合だけでなく、体の力が抜けたり、反応がなくなったりするように見えることもあります。

一方、年長児や成人、高齢者で発熱とともにけいれんが起きた場合は、一般的な意味での熱性けいれんとは考えず、けいれんを引き起こした原因を確認する必要があります。脳炎、脳症、髄膜炎などの感染症のほか、てんかん、代謝異常など、さまざまな原因が考えられるためです。

また、過去に発熱時のけいれんを経験したことがある人でも、今回の発作が以前と同じ原因とは限りません。その場で周囲の人が原因を判断することは難しいため、けいれんが起きたときは発作の様子や続いた時間、発作後の意識や呼吸の状態を確認し、必要に応じて医療機関へつなげることが重要です。

発作中は安全な姿勢を確保して時間を確認する

けいれんが始まったら、まず本人がけがをしないよう安全を確保します。可能であれば床など転落の危険がない場所へ寝かせ、周囲の硬い家具や危険な物を遠ざけます。衣服が首回りを強く締めている場合はゆるめ、吐いたものが口の中にたまらないよう、無理のない範囲で体や顔を横向きにします。

発作中に口へ箸、指、タオルなどを入れる必要はありません。「舌をかまないように」と物をかませると、口の中を傷つけたり、物が気道へ入ったりする危険があります。手足を強く押さえて震えを止めようとすることも避けます。

重要なのは、けいれんが始まった時刻を確認することです。安全を確保できており、周囲に余裕がある場合には、発作の様子を動画に記録すると診療時の参考になることがあります。

体の左右どちらが動いていたか、全身が震えていたか一部分だけだったか、目がどちらを向いていたか、発作が何分程度続いたか、発作後どのくらいで普段に近い反応へ戻ったかなども、医師に伝える重要な情報になります。

乳幼児の熱性けいれんについては、日本小児神経学会の診療ガイドラインで、初期対応や長く続く発作への治療、予防薬の使用などについて診療上の指針が示されています。

解熱薬だけでけいれんを防げるとは限らない

発熱に伴ってけいれんが起こると、「熱を早く下げれば次の発作を防げるのではないか」と考えることがあります。しかし、解熱薬は主に発熱によるつらさを和らげるために使用する薬であり、けいれんの予防を目的として自己判断で繰り返し使用するものではありません。

特に乳幼児の熱性けいれんでは、解熱薬を使用すれば再発を確実に防げるというものではありません。

過去にけいれんを起こしたことがある人では、発熱時や発作時に使用する薬を医師からあらかじめ処方されていることがあります。その場合は、どのような症状や体温のときに使用するのか、追加で使用するときはどの程度間隔をあけるのかなど、医師から受けた指示に沿って使用してください。

乳幼児の熱性けいれんについても、発熱時の予防薬をすべての人に一律に使用するのではなく、過去の発作の経過や長時間の発作に関する要因などを考慮して適応を判断する考え方が示されています。

本人や家族が薬の名前や使い方を把握できていない場合は、平常時にかかりつけ医や薬剤師へ確認しておくとよいでしょう。学校、保育施設、介護施設、職場など、本人以外の人が対応する可能性がある場合には、必要に応じて発作時の対応や処方薬の使用方法を共有しておくことも大切です。

長く続く発作や意識が戻らない場合は救急要請を考える

けいれんが5分以上続く場合は、年齢にかかわらず救急車を呼んでください。また、けいれんが止まったあとも意識が戻らない、呼吸がおかしい、顔色が明らかに悪いといった場合も、速やかな救急要請を考えます。

けいれんが短時間で止まった場合でも、初めて起きた発作、体の一部分だけにみられる発作、短時間のうちに何度も繰り返す発作などは、医療機関への相談や受診が必要です。

乳幼児では発熱に伴う熱性けいれんがみられることがありますが、生後6か月未満や6歳以上で発熱を伴うけいれんが起きた場合は、典型的な熱性けいれんの年齢から外れます。成人や高齢者を含め、これまで熱性けいれんと診断されていない年齢の人に発熱とけいれんがみられた場合には、原因を確認するための医学的評価が重要です。

強い頭痛、繰り返す嘔吐、呼びかけへの反応が悪い、異常な言動が続く、手足にまひがある、呼吸が苦しそうなどの症状を伴う場合は、単に「熱のために起きたけいれん」と決めつけないことが大切です。

乳幼児を含む小児の長く続くけいれんについては、日本小児神経学会から診療上の指針も示されています。発作時に使用する薬が処方されている場合も、治療は医師から受けた事前の指示に従って行い、周囲の人はまず安全確保、発作時間の確認、呼吸や意識の観察を優先しましょう。

おわりに 発作中は安全を守り、時間と回復の様子を確認する

発熱に伴ってけいれんが起きたときは、年齢にかかわらず、まず本人の周囲を安全にし、口の中へ物を入れず、発作が始まった時刻を確認します。発作が止まったあとは、呼吸、顔色、意識や反応が普段の状態へ戻っているかを観察することが大切です。

けいれんが止まらない、発作後も意識が戻らない、呼吸や顔色がおかしい場合などは、速やかな救急要請が必要です。また、成人を含め初めてけいれんが起きた場合や、これまでとは異なる発作が起きた場合には、短時間でおさまったとしても医療機関への相談を検討してください。

けいれんの既往があり、医師から発熱時や発作時の対応について指示を受けている場合は、薬の使い方や救急要請・受診の基準を平常時に確認しておくことで、突然の発熱や発作にも対応しやすくなります。

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