記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/8
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
ヒトパピローマウイルス(HPV)が陰部に感染して起こる子宮頸がんは、20代後半から増え、最近では特に若い年齢層(20~39歳)で増えています。
子宮頸がんの予防にはHPVワクチン接種が期待されています。
ワクチンは安全ですが、特定の基礎疾患があったり、重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)を経験したことのある人は、特別な注意を払ったほうがよいかもしれません。
HPVウイルスは、性行為によって簡単に感染します。
最近では特に若い年齢層で子宮頸がんがみられていることから性行為を経験する早い段階からHPV感染の危険性から女性を守ろうというものです。
子宮頸がんワクチンは強制ではなく、現在は積極的な接種は勧められていませんが、社会的な影響を考慮すると対象者は接種することが望ましく、予防接種を受ける際はワクチンの有効性とリスクを十分に理解したうえで、受けるかどうか判断することが重要です。
サーバリックスとガーダシルという2種類のワクチンを使用し、3回の接種が必要です。「予防接種法」で規定された中学1年生となる年度に、以下のように行います。
1回目の接種を行った1カ月後に2回目を、6カ月後に3回目の接種を行う
1回目の接種を行った2カ月後に2回目を、6カ月後に3回目の接種を行う。
接種1カ月以内に何らかの予防接種を受けたときは、いつ、どのようなワクチンを接種したか、医師に伝えてください
針を刺した直後に強い痛みやしびれが生じたときは、担当の医師にすぐに伝えて針を抜いてもらうなどの対応をしてもらい、その後の対応についても相談してください。
予防接種直後に、以下の症状がみられることがあります。
・注射による痛み
・恐怖、興奮などをきっかけとした失神
接種後は、保護者の方が付き添い、接種後30分ほどは立ち上がることを避けて待機して様子をみるようにしてください。
また、予防接種当日は激しい運動は避け、接種部位を清潔に保ち、接種後の体調管理をしっかり行ってください。接種部位の異常や体調の変化、さらに高熱、けいれん、長期間持続する激しい痛みなどの異常な症状を呈した場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
約10年間感染を防ぐ効果があることがわかっていますが、専門家はもっと長く効果が持続すると推測しています。
子宮頸がんワクチンは、多くの副作用の報告から接種を見合わせることが多くなっていますが、子宮頸がんから女性を守ることは妊娠・出産というヒトとしての種の繁栄につながる大事なことだと思いませんか? 20歳を過ぎたら「子宮がん検診」とともに考えてみてはいかがでしょう。