皮膚がんの可能性も・・!油断できない日焼けの危険性

2017/2/9

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

小麦色に日焼けした肌って男女問わず健康的に見えますよね。特に夏は海やプールに行ってきれいに肌を焼きたいと思っている人は少なくないはず。でも、日焼けは皮膚がんの原因にもなります。健康のために日焼けの危険性を知っておきましょう。

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日焼けで注意すべきこと

皮膚がん

日光にあたることは、皮膚がんの原因に発展します。日の強さと当たっている時間に比例してこの危険度は増加するため、日光を浴びる人(特に、屋外で働く人)は皮膚がんのリスクがあります。 この癌は長年にわたって現れない場合もあるので注意が必要です。

手術の切開部の傷あと

手術で切開した部分跡は日焼けすると、黒く目立つようになります。手術後最初の6ヵ月間は日光に当たらないようにしてください。日中に屋外に出るときは、傷跡をテープや日焼け止めで覆うようにしましょう。

やけど

やけどした部分も日光に敏感なため、やけどを負った後は最大で1年間は、屋外にいるときには日焼け止めを塗る必要があります。

眼の損傷

雪上スキー、水上スキーなどのスポーツで最もよく見られる「放射線障害」は、眼の損傷です。太陽の紫外線によって引き起こされるので注意が必要です。

日焼けマシーンの危険性

日焼けのもつリスクを紹介しましたが、中でも非常に恐いのが皮膚がんではないでしょうか? 日焼けした肌は、年齢や人種問わず傷ついており、見た目に反して健康的ではありません。屋外の日光ではなく、日焼けサロンなどにあるマシーンを使って日焼けしても、肌はダメージを受け、皮膚がんのリスクが増えてしまいます。

それでも、夏の間あるいは一年中日焼けしたい人はたくさんいますよね。冬は人工的に日焼けさせるために日焼けマシーンを使う人もいると思いますが、これはとても危険です。
日焼けマシーン使用者は皮膚がん発症率が高く、実際、35歳までに日焼けマシーンを使用すると皮膚がんのリスクが75%も増加するといわれています。
ですが、そうした日焼けマシーンの使用に反対する声があるにも関わらず、「屋内日焼けは屋外日焼けよりも安全 」「屋内日焼けでビタミンDを増やせる」といわれ、日焼けマシーンは安全だと思われているようです。しかし、これらの根拠は全くありません。研究では、日焼けマシーンの紫外線放射の強さが日光よりも危険だといわれているんです。

紫外線には皮膚を損傷させ皮膚がんをおこす可能性のあるUVAとUVB線がありますが、日焼けマシーンは両方の光線を浴びせてしまいます。
2009年、WHOの国際がん研究機関は、クラス1のヒト発がん性物質に、日焼けマシーンを定めました。このクラス1というのは最もリスクの高いランクです。
2009年以前までは「おそらく人に発癌性がある」といった分類に日焼けマシーンがありましたが、クラス1になり「おそらく」という言葉が削除され「発癌性がある」という表現になっていて、その危険性が証明されてしまいました。

さらに、日焼けマシーンは以下のような危険性があります。

・基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫を含む皮膚がん
・眼のがん
・白内障などの眼疾患
・早期老化
・免疫系抑制

日光を対処するための方法

本当であれば、すべての人は日焼けを避けるべきですが、日焼けした肌がどうしても好きっていう人は、有効成分のジヒドロキシアセトン(DHA)を含むセルフタンニング製品を使ってみてください。ローション、フォーム、スプレーのタイプがあり、ほとんどが速効型で、数時間で肌を小麦色にしてくれます。効果は約1週間持続します。

 また、ビタミンDは身体に必要不可欠なものですが、これを増やしたいのであれば、日焼けではなく食べ物や栄養補助食品がおすすめです。ビタミンDが豊富な食品には、魚、オレンジジュース、牛乳などの乳製品、穀類が含まれているため、安全に摂取できますね。

工夫して日焼けから肌を守る

日焼けしないよう日光に気をつけることは、皮膚がん予防のために重要です。次のことに気をつけましょう。

・午前11時から午後3時までは日陰で過ごす
・絶対に日焼けしないようにする
・Tシャツ、帽子、サングラスで直射日光をさける
・子どもが日焼けしないよう気をつける
・SPF(紫外線防御指数)15以上の日焼け止めを使う
・ほくろやそばかすに気をつける

少しでも変わった場合(例えば、今までより大きくなったり、出血したりする場合)は、がんの初期症状である可能性があるので、病院に行ってください。皮膚がんは早期に発見されればされるほど治療が容易になるので、診察をうけましょう。

こんな変化があったら注意が必要

皮膚がんは最も一般的ながんのタイプで、早く発見すればするほど簡単に治すことができます。以下のような兆候があります。

・時間の経過とともに色、質感、大きさが変化する斑点(茶色のものもある)
・思春期後に現れる臼歯または斑点
・着色(黒または茶色)または半透明で皮膚の一部が巨大化
・肌のかゆみ、痂皮(かひ)、出血など
・痛みを伴うほくろ

日焼けはとても恐いものです

日焼けは皮膚がんだけではなく、皮膚に大きな影響を与えます。ただの日焼けと思って、油断してしまうと大変なことになってしまいます。夏だからといって、まっ黒に日焼けしたいと思っている人は注意してくださいね。

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