記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21 記事改定日: 2018/7/2
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
適度な飲酒は身体にいいといわれていましたが、考えられていたほどは効果がなさそうです。むしろ、飲酒によって心身の健康を損なうリスクの方が明らかに大きいといえるでしょう。
ここでは飲酒によるリスクに関して解説していきます。お酒の怖さを知り禁酒や減酒に取り組むきっかけにしてください。
日常的にお酒を飲んでいる人が禁酒や減酒をすると、様々な体調の変化が現れます。
まず、アルコールを処理する働きをする肝臓への負担が減少することで、検査上の肝機能の改善が見られます。肝臓に過度な負担がかかることで生じる倦怠感などがなくなり、日中の活動性が上昇するといった効果も期待できるでしょう。
また、就寝前のアルコールは良質な睡眠を妨げることがあり、慢性的な寝不足に陥る可能性がありますので、禁酒や減酒をすることで深い睡眠を得ることができます。
さらに、アルコール自体にカロリーがある上に、アルコールには食欲増進効果があり、過度な飲酒は肥満や高脂血症などの生活習慣病につながる可能性があります。禁酒や減酒を行うことで、これらの生活習慣病を予防・改善する効果も得られます。
このように、日常的な飲酒を控えることで様々な体調の改善を得ることができるのです。
飲酒のリスクには下記のようなものがあります。思い当たることがあるなら、お酒の量を見直す必要があるかもしれません。
普段から、1週間に14単位※以上の飲酒をしていると、健康上のリスクが高まります。
近年、定期的な飲酒が健康にもたらす影響について、新たな研究結果が発表されて、飲酒といくつかの病気(がんなど)との関連性が示されています。
かつて、適度のアルコールが心臓によい効果を与えるといわれていましたが、これが見直され、適度な飲酒による健康効果は、考えられていたほど効果が高くないということが明らかになっています。
※14単位…平均的なアルコール度数のビールを3リットル、または度数の弱いワインを小さなグラスで10杯分に相当します。
また、飲酒を要因としたもので、次のようなリスクも考えられます。
ほぼ毎日飲酒する場合、アルコールからの健康リスクを抑えるために次のようなことに気をつけてください。
一度に大量に、速いペースで飲んでしまうと、次のようなリスクが高まってしまいます。
飲み過ぎを予防するために、お酒の席では以下のことに気をつけましょう。
禁酒をすると離脱症状といわれる「禁断症状」が現れる場合があります。離脱症状は一時的なものではありますが、我慢できない程ひどい症状が現れることもあります。
禁酒を始めて以下のような症状が出たときは治療が必要な場合がありますので、医師に相談しましょう。
禁酒を成功させるためには長い期間が必要です。お酒の誘惑を断ち切ったり、離脱症状を耐えるためには、適切なサポートを得ることが重要です。家族や友人だけでは支えきれないことも多いでしょう。
お住まいの地域での支援施設がないか、かかりつけの医師に相談してみましょう。
飲酒には少なからずリスクがあり、どんなにお酒が強い人であってもその人の許容量を超えて飲んでしまえば、体や心に不具合が起こってしまいます。この記事のなかで飲酒のリスクを紹介していきましたが、飲酒量をコントロールできずにお酒を飲み続けていれば、上記のようなトラブルが起こる可能性があるのです。
お酒を飲んでいる人で、もし上記のような症状に心当たりがあるようなら、すぐに禁酒や減酒を始めましょう。