記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
赤ちゃんのすさまじい泣き声を目の当たりにすると、不安にさいなまされたり、苛だちを覚えることもあるかもしれません。お腹がすいているわけでも、おしめがぬれているわけでもないのに、泣きやんでくれない。それがずっと続いているのであれば、疝痛の可能性があります。
空腹の不安、けがの痛み、不快感など、だれかに強く訴えようとして、赤ちゃんは大声で泣くのです。
ただし、生後6週間から3ヶ月の赤ちゃんによくみられる疝痛は、いまだ詳しい原因は明らかになっていません。また、ほかのときと泣きかたに特徴があるわけでもなく、夕方以降に突然泣き出す、急に手足をじたばたさせる、おっぱいを嫌がる、といった様子をみせることがあります。
疝痛は、遺伝によるものではなく、未発達の神経がまわりの刺激に過敏に反応してしまって起こるものといわれています。子育ての方法に問題があるかどうかにかかわらず、どの家庭でもあり得ることです。保護者は自分を責めたりしないでください。
疝痛の明確な治療法というものは、残念ながら確立されていません。
心細い思いをしてしまうかもしれませんが、緩和に有効とされる方法をいくつかご紹介しますので、赤ちゃんやご自身に合ったものを試してみてください。
明かりをおだやかにしたり、派手目な色調の家具をさけるなど、部屋の雰囲気を見直してみましょう。子守唄やヒーリングの音楽を聴かせてあげるのもよいかもしれません。ただし、必要以上に大きな音は、赤ちゃんにとっては刺激が強すぎるでしょう。
ずっとお家の中にいるのは、赤ちゃんにとっても退屈なものです。ちょっと外に連れ出してあげるだけで、赤ちゃんのごきげんが驚くほどよくなることもあります。お父さん、お母さんが神経質になってしまうことも、赤ちゃんにとってはよくありませんので、ドライブなどに出かけて家族全員でリフレッシュするのもおすすめです。
はげしく泣いている赤ちゃんをやさしく抱きしめてあげましょう。毛布に包まれたような暖かな安心感に気持ちがやすらぎ、泣きやんでくれるかもしれません。
お腹をむずがるようであれば、ゆっくりなでてみてください。たまったガスが抜けて落ち着いてくれるかもしれません。ただし、それでも泣きやまずにはげしく痛がるようであれば、医師に診てもらったほうがよいでしょう。
お母さんが食べているものに、アブラナ科野菜(キャベツ、カリフラワーなど)、酸性柑橘類、アレルギー性食品(乳製品など)が含まれていないか確認してみましょう。これらは、おっぱいを飲んだ赤ちゃんのお腹にトラブルを引き起こすおそれがあります。また、粉ミルクの相性も見直してください。
疝痛は、生後3ヶ月までの赤ちゃんにとっては、ごく普通の兆候ですので、それほど心配する必要はありません。また、医学的に原因が特定されていないため、診断を受けてもただちに治癒するというわけでもありません。とはいえ、場合によっては、他の病気やケガが原因になっていることもありますので、不安な場合はかかりつけの医師に相談しましょう。
「赤ちゃんがずっと泣き続けているのに、その理由がわからない」「頼みの医師もはっきりと断定をしてくれない・・・」という場合は、強い孤独感を感じるかもしれません。ここで、自分を責めたり、無理やり赤ちゃんを泣きやまそうとしないようしてください。パートナーや、両親、身近な友だちなどに悩みを打ち明けたり、運動をしたりして、ストレスを発散させましょう。
また、がんばりすぎることも禁物です。子育ての先輩の両親に応援を頼んだり、プロのベビーシッターを活用して、ナーバスにならない子育てネットワークを作るようにしましょう。