記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/6 記事改定日: 2020/4/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
拒食症は、ただ痩せてしまうだけの病気ではありません。命にも危険が及ぶこともあり、体重をもとに戻せても以前の健康を取り戻せなかったり、再発を繰り返してしまうことも少なくありません。
この記事では、拒食症の治療について解説していきます。自己流のケアによるトラブルが多い病気でもありますので、正しく理解しておきましょう。
拒食症の重症化は身体へ致命的な影響を与える可能性があるため、早期の治療が必要になります。しかし、拒食症の人の多くは自分が病気であることを受け入れられなかったり、拒食症を治すことで太ることに恐怖を抱くことがあるため、治療がうまく進められないことも多いです。
拒食症は、一人ひとりの状態に合わせた治療計画が必要になります。
拒食症の治療の目標は
ことです。
治療は多くの場合、以下の治療方法を組み合わせて行われます。
摂食障害の人の思考(認知療法)と行動(行動療法)を変えることに焦点を当てた個別カウンセリングの一種です。食べ物や体重に対すしての考え方を健全なものにするように導いたり、拒食しそうになったときの対処法を学んだりします。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの特定の抗うつ薬は、摂食障害などの病気に関連する不安や抑うつを抑制するために効果的とされています。
種類によっては食欲を刺激する薬もありますが、食事への不安感や食事や身体への歪んだイメージ、痩せることへの執着心を改善させるために、ほかの薬が処方されることもあります。
栄養カウンセリングとは、食べ物や体重に対しての健全な考え方を教え、正常な摂食パターンを回復させ、バランスの取れた食生活に導くために行われる治療法です。
摂食障害の治療には、家族からのサポートも欠かせません。摂食障害という病気を家族が理解し、徴候や症状を認識することが大切になります。
痩せるうちに深刻なレベルまで体重が減少し、栄養失調や心疾患、重度のうつ病、自殺願望など重大な精神的・肉体的な症状が現れた場合、治療のために入院が必要になることがあります。重症度によっては栄養チューブや点滴による栄養投与が必要になることもあります。
拒食症は治療が難しい病気の一つです。発症した場合は、上で述べたような治療を進めていきますが必ずしもすべての人に効果があるわけではありません。そのため、医師や臨床心理士などと相談しながら治療を進めていくと同時に、日常生活の上でもセルフケアを行っていく必要があります。具体的には次のような対策を行いましょう。
また、拒食症は一度改善したとしても再発を繰り返すことも少なくありません。
拒食症を予防するには、食欲や体型・体重への関心の大きさに異常を感じたときはできるだけ早く病院で相談することが大切です。また、毎日の過剰な体重測定などは控え、全身が映る鏡なども使用しないほうがよいでしょう。
拒食症の治療は痩せてしまった体重を戻すことだけが目的ではありません。拒食症にともなう症状の軽減や、食事を正常にとれるようにするためのアドバイス、栄養的なサポート、再発しないようにするための対処法などが必要です。
セルフケアも大切ですが、まずは専門の医療機関に相談し、適切な方法で治療を進めていきましょう。