記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/2
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
運動中に骨折した子どもがギプスをはめて学校に来たり、ドラマや映画で負傷したシーンの後、松葉杖にギプス姿で現れるシーンが映し出されたり、、ギプスを見かけるのはこうした特別な場面かもしれません。でも、もし自分が、家族が、骨折してしまったら……。
いざというときのために、ギプスについて少し学んでみましょう。
折れた骨や裂傷した靭帯の治療を促すために、ギプスが使われます。ギプスは、怪我をした部位が動かないように固定することで回復を促したり、痛みや腫れをも和らげたり、怪我がさらにひどくなることを防いだりすることに役立ちます。
数週間近く着用することが多いですが、怪我の種類とその度合いによって異なるため、医師が目安の装着期間を教えてくれると思います。医師は、ギプスがきつ過ぎないか、また、患部の腫れの具合を確かめるために、着用してから1~3日後にギプスをチェックすることがあります。
医師はギプスカッターを使ってギプスを切断します。刃が高速で振動し、その摩擦熱でギプスを切断します。この機械は表面の硬い部分をカットしますが、患部を覆っている柔らかい裏地の部分はカットしません。
ギプスは病院で外してもらうようにし、決して自宅で外さないでください。たとえばダンボールカッターや糸のこぎりといったものを使うと、負傷した部位の損傷だけでなく、皮膚や血管などがケガをする可能性があります。
ギプスはグラスファイバーもしくは石膏製でできており、患部をしっかり覆うため一人ひとりの体型や症状に合うものが作られます。
ギプスをはずすことができるのは、病院の中だけです。
一方、添え木は石膏、グラスファイバー、アルミニウムなどでできた細長い板のことで、シーネともいいます。骨折した部位にあてて、包帯もしくはテープなどで固定します。
添え木はギプスと異なり、患部を覆うことはありません。また、簡単に調整したり、取り外したりすることができます。また、添え木は数日から数週間着用することが多いです。負傷した部分がものすごく腫れていて、ギプスをはめるのができない場合に、腫れが引くまで添え木で固定することもあります。この場合、腫れが引いた後にギプスでしっかり固定する場合があります。
以下のような場合は、すぐ医師に連絡してください。ギプスの調整や除去、もしくは変更する可能性があります。
・痛みが増してきた
・負傷した部位またはその近くがしびれたり、うずいたり、刺すような痛みがある
・肌、爪、指、つま先の色が変色(どす黒い青色)、触れると冷たい、動かせない
・出血やうみ、液状のものがしみだしてきた。
・ギプスから悪臭がする
・ギプスが壊れた
ギプスをはめることで患部の回復を促進しますが、特定の部位を固定し続けるため、状況によっては痛くなったり、肌の色が変色したりすることもあります。
違和感を感じたり、様子がおかしいと思ったら、医師にすぐ相談しましょう。