サプリメントで補える? 酸化と戦う抗酸化物質

2017/3/14

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

人間の身体は空気や日光、汚染物質にふれていますが、身体の細胞がそれらに触れることで酸化してしまい、老化を引き起こす活性酸素をつくりだしてしまいます。活性酸素は老化だけではなく、がんなどの深刻な病気にも関連するものです。
そんな活性酸素に対抗するのが抗酸化物質です。
ここでは活性酸素を含む食品やサプリメントについてみていきたいと思います。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

抗酸化物質とは?

体内の細胞は毎日酸素にふれています。酸素は健康にとって重要なものになりますが、酸素にふれていくうちに酸化も起こります。酸化によって体内の化学物質は変化し、活性酸素となります。日光、タバコの煙、アルコールや汚染物質にふれることでも活性酸素はつくり出されていきます。

活性酸素により体内の重要な化学物質、DNA、細胞は、時間の経過とともに一部が損傷される連鎖反応を引き起こす可能性があります。
そして研究では、この活性酸素は老化だけでなく、がん、糖尿病、心臓病などの病気に関連する可能性があることも示されています。

抗酸化物質とは、活性酸素によって引き起こされる損傷を停止または制限する可能性がある天然物質です。
抗酸化物質によって活性酸素が安定し、ほかの細胞に損傷を与えないようにしてくれます。

サプリメントで補えるか

正常な身体の機能に基づいて、抗酸化物質は一定量が産生されますが、健康的な食生活によって得ることもできます。
抗酸化食品には、ビタミンA、C、E、ベータカロチン、ルテイン、リコピン、セレンなどの栄養素が高い果物や野菜が含まれます。

一部では抗酸化サプリメントを服用する人もいますが、もしすでに使っているという場合は医師に相談してください。
多くのサプリメントには、ビタミン、ミネラル、酵素がバランス良く含まれておらず、健康に悪影響を及ぼします。

食べ物で抗酸化物質がとれるか

色鮮やかな果物や野菜、その他に全粒粉、種子、ナッツなど抗酸化物質が豊富な食品を混ぜ合わせた健康的な食事をすることで、最も多く抗酸化物質をとることができます。
ビタミンEとベータカロチンが豊富な食品は非常に健康的で、ガンのリスクを軽減するのに有効です。

しかし、喫煙者の場合は、肺がんのリスクを高める可能性があるため、サプリメントのベータカロチンは摂取しないでください。また、マルチビタミンサプリメントを服用する場合も注意が必要になります。ビタミンEやA、セレンなどの食品よりサプリメントの栄養素を多く摂取しすぎると、健康に害を及ぼすことがあります。
服用前には、必ず医師に相談するようにしましょう。

抗酸化物質を多く含んでいる食べ物は、次のとおりです。

・ビタミンA:牛乳、肝臓、バター、卵に含まれます。 

・ビタミンC:ほとんどの果物や野菜に含まれます。最も含有量が多いのは、パパイヤ、イチゴ、オレンジ、メタルワープ、キウイ、ピーマン、ブロッコリー、ブリュッセルシュート、トマト、カリフラワー、ケールです。 

・ビタミンE:アーモンド、ヒマワリの種、ヘーゼルナッツ、ピーナッツなどのナッツや種子に含まれます。ホウレンソウやケールなど緑色の葉野菜や、大豆、ヒマワリ、トウモロコシやキャノーラ油などの油にも含まれます。 

・ベータカロチン:ニンジン、エンドウマメ、カンタロープ、アプリコット、パパイヤ、マンゴー、モモ、カボチャ、アプリコット、ブロッコリー、サツマイモおよびスカッシュなどの、カラフルな果物や野菜です。 
ビートグリーン、ホウレンソウ、ケールなど緑豊かな野菜にも含まれます。 

・ルテイン:ほうれん草、コラール、ケール、ブロッコリー、トウモロコシ、エンドウ豆、パパイヤ、オレンジなどに含まれます。

・リコピン:ピンクグレープフルーツ、スイカ、アプリコット、トマトなどのピンクと赤の果物や野菜に含まれます。 

・セレン:穀類(トウモロコシ、小麦および米)、ナッツ、マメ科植物、動物製品(牛肉、魚、七面鳥、鶏肉、卵、チーズ)、パンやパスタに含まれています。

おわりに

私たちの身体は、空気や日光、汚染物質にふれることで、日々老化などのリスクにさらされています。
抗酸化物質は、サプリメントなどで簡単に摂取することはできませんが、これを含む食品が多数あります。
老化、がん、心臓病などのリスクと戦っていける身体を作っていきたいものです。抗酸化物質を摂取して細胞の損傷を防ぎましょう。

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