記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/20 記事改定日: 2018/4/12
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢が止まらない場合や下痢に嘔吐や熱などがともなっていると不安になると思います。下痢の大半は一時的な感染症といわれていますが、深刻な病気が隠れていることもあります。病院へ行った方がいいかどうかをどのように見分ければいいのでしょうか。
この記事では、止まらない下痢の原因と病院へ行くべき症状について解説しています。療養中におすすめの食事もあわせて紹介していくので、参考にしてください。
下痢は、体内に水分を吸収するはたらきと、体外に水分を分泌するはたらきのバランスが崩れることで、便の水分が多くなりすぎた状態のことをいいます。
主な原因ウイルスとして、ノロウイルスやロタウイルスなどが考えられます。
ノロウイルスの場合、症状として吐き気や下痢、また嘔吐や発熱などがあらわれます。
ロタウイルスは色が白い下痢が特徴で、嘔吐や発熱があらわれ、乳児の場合には痙攣を起こすこともあります。
サルモネラ菌による食中毒は、食後4~48時間後に中毒を引き起こし、下痢や40℃近い発熱、また嘔吐や腹痛をともないます。中でも下痢は1日に20回を超えることもあるほど激しく症状があらわれます。
腸が疲れた状態となることを腸疲労といいます。
便を排出する力や消化吸収、また水分を吸収する力の3つが低下することにより、
下痢を引き起こしたり、長期間の便秘へとつながるといわれています。
発熱は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る際に起こります。
下痢はウイルスや細菌が原因で発生することもあるため、体温を上げて免疫細胞を活性化させるために発熱があらわれます。
下痢や嘔吐によって大量に水分が失われることで脱水を引き起こし、熱が身体の中から逃げにくくなることも原因のひとつでしょう。
また、発熱と下痢が2週間以上続く場合には、炎症性腸疾患の可能性が高いといわれています。炎症性腸疾患は自己免疫性の病気で、クローン病や潰瘍性大腸炎などがあります。
他にも発熱と下痢がともなう原因として、甲状腺機能亢進症という病気などが隠されていることもあります。20~40歳代に発症しやすく、下痢の他にも動機や息切れ、体重の低下などがみられます。
下痢や食事などが原因の一過性の感染性腸炎であることが多いですが、下痢が2週間以上続いた場合は、別の疾患が疑われるため注意が必要です。
問診での病歴の確認と血液や便の検査で原因を突き止めることができれば、適切な治療を受けることができるでしょう。
病気などが原因ではないとはっきりしていれば、市販薬で一時的に症状を抑えることが有効な場合もあります。
ひどい下痢のときには腸内に留まっている異物や毒素を早く体外に排出する必要があるため、下痢止めは安易に使うべきではないとされています。
ただし、下痢や発熱によって脱水となり、体力を消耗し続けることで危険な状態となることもありえるため、薬は適切に使うことが必要です。
医師から処方された薬は正しく服用し、不安がある場合は医師に相談してから服用しましょう。
下痢が続いている場合や嘔吐している場合は、脱水症状になりやすいので、十分な量の水を飲み、水分補給をしましょう。
なお、下痢に含まれる腸液にはナトリウムやカリウムなどの電解質が豊富に含まれているので、水分補給する際はこれらの電解質も補充する必要があります。経口補水液、スープや果物、フルーツジュースなどは、電解質の補給に役立つのでおすすめです。
クローン病や潰瘍性大腸炎でない限り、食事に食物繊維を加えることで下痢の症状を軽減できるといわれています。これは食物繊維が便を膨らませ、粘度を高めてくれると考えられているからです。
根菜などに含まれる不溶性食物繊維は、腸への刺激が強いため下痢が悪化する場合があります。
脂肪分や食物繊維が少ない食品をやわらかく調理した料理が好ましいといわれています。
そのため、ほうれん草や白菜、また鶏ささみや赤身肉などの脂の少ない肉類、魚介類では白身魚が適しているでしょう。
胃腸の調子がよくない時におすすめのメニューを2つご紹介します。
まず1つ目は、白菜やにんじん、赤身肉を入れた煮込みうどんです。
食物繊維が少ない野菜類やうどんは消化によいため、腸への負担を減らすことが期待できます。
煮込みうどん以外では、下記のうどんもおすすめです。体調にあわせて具材の量は調節してください。
白身魚は腸への負担が少なく、栄養が豊富と考えられている食品のひとつです。
また煮魚にすることで消化する際の腸の負担が軽減されます。
煮魚の作り方は下記の動画を参考にしてください。
下痢のほとんどは、特別な治療をしなくても短期間で治まります。
しかし、なかには深刻な病気の警告として現れている下痢もあるので注意が必要です。
子供の下痢が24時間以上続く場合は、医師に相談しましょう。 成人の場合も、下痢が3日以上継続しているときは、診察を受けるようにしてください。
以下の場合は特に緊急性が高いので、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
・重度の腹痛または直腸痛
・血便
・黒いタール便
・高熱
・脱水症状の兆候
上記の状態は、次のような病気の兆候であることがあります。
・感染症
・炎症性腸疾患
・急性膵炎
・大腸癌
・急性虫垂炎
・腸閉塞
また、癌にかかっている人や最近癌を治療したという人は、必ず下痢について医師に知らせるようにしてください。
4週間経っても下痢が継続している場合、慢性下痢と診断されます。
原因を突き止めるために、医師に伝えるべきことを下記に挙げます。
・いつ下痢があったのか
・下痢が断続的か継続的かどうか
・状況が緩和するもしくは悪化する状況や食べ物について
・便が、血便か、油っぽいか、水状であるか
・他の症状と、その症状のあった期間
・慢性下痢の家族歴があるかどうか
・最近あなたが旅行した場所
・最近食べた珍しい食べ物
・服用している薬やサプリメント
・体重の大幅な減少があるかどうか
下痢が3日以上続くときは、深刻な病気が隠れているおそれがあります。また、慢性的に下痢を繰り返す人も同様です。早めに病院で検査して、体に異常がないか診てもらいましょう。
深刻な問題がない場合は、脱水に気をつけて体力の回復にはかるため、こまめ水分を補給し、お腹にやさしい食事を食べるようにしてください。