記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
期間の長短にかかわらず、薬物の乱用は中毒性をともない、脳に深刻なダメージを与えていきます。巷間でよく聞かれる薬物の特徴と、その影響について解説していきます。
幻覚作用があり、身の回りのものが現実とは違う奇妙なものと錯覚するようになります。また、色彩が鮮やかになったり、音や景色が歪んだりして、知覚に変化が生じます。使用者によっては、トリップによるパニック状態になって妄想を引き起こし、暴走的な行為に走ることもあり、重大な事故につながるケースも少なくありません。マジックマッシュルームの効果が持続する時間が5時間程度なのに比べ、アシッドは12時間以上続きます。使用をやめても、薬物使用時の体感が突然よみがえり、フラッシュバックを起こすことがあります。
大麻を吸引するとリラックスして気分が高揚しますが、記憶障害をともない、起こったばかりのできことさえ記憶するのが難しくなることがあります。また、常習するとパニックや妄想を&引き起こす可能性もあります。大麻は、精神病、統合失調症、うつ病などの精神疾患がある場合に特に精神面にダメージを与えるともいわれ、精神病の家族歴がある大麻使用者は、特に影響を受けやすいといわれています。
コカインは気分を高揚させ、自信や活力に満ちているように感じさせる覚醒作用を持つ薬物です。しかし、時間が経過すると不安感、パニック、妄想に変わり、使用後にひどい疲労感や鬱状態になることもあります。そして、長期間の使用は精神の状態をさらに悪化させます。コカインとクラック・コカインの禁断症状は非常に強く、やめることは精神的な苦痛を伴うため、依存者の更正は困難です。
エクスタシーは覚醒作用を伴う幻覚剤です。リラックスした気分にさせ、あらゆる人に情愛を抱き、疲れを感じなくなる効果があります。しかし、すでに恐怖を感じていたり使用量が過剰になると、精神の落ち込みがひどくなります。常習すると依存が高まり、睡眠障害、エネルギー不足、劇的な体重減少、うつ病や不安につながります。エクスタシーを摂取すると体内のセロトニンが減少することが研究で明らかにされており、これが使用後の虚脱感の原因とされています。
ヘロインやその他のアヘン剤は感覚を鈍らせ、身体的、精神的な痛みを和らげます。薬物の中でも依存性が特に強いため、禁断症状が非常に激しく、過剰摂取による昏睡や死亡が多くなっています。長期的なヘロイン使用者のほとんどが、ライフスタイルが破綻し、いわゆる廃人状態に陥ってしまいます。
気分のリラックス、高揚の作用があり麻酔薬としても使われています。ただし効果の強さは不規則です。そのため、摂取後に不意に歩き回って事故に遭ったり、低体温を起こす危険があります。また、離脱症状を引き起こすことがあり、精神へも悪影響をおよぼします。耐性ができるのが非常に早く、依存性が高いとされる薬物です。長期的な影響によって、フラッシュバックや記憶障害、集中力の低下が起こる可能性があります。
塗料を薄めるための溶剤として広く用いられ、日本では青少年の悪用が社会問題化したことから、使用・販売が規制されました。気化したシンナーを吸引すると酔っ払い状態になり、幻覚を引き起こすことがあります。多量に吸引すると脳にダメージを与え、感情のコントロール、客観的な思考、記憶が難しくなります。
メタンフェタミンを摂取するとすぐに活発になり、自信がみなぎってきますが、その反動で、パニック障害、怒りっぽい、みんなに見られているような妄想感覚に陥ることがあります。また、メタンフェタミンを喫煙で摂取することは、即効性があり長時間にわたる高揚感を与えますが、落ち込みも激しいのが特徴です。常習すると論理的な思考や記憶に障害をきたします。
アナボリックステロイドは筋肉量を増やす作用があります。いっぽうで、暴力的になったり、睡眠障害、混乱、憂鬱、妄想などの副作用があり、長期使用は心理的依存を強めてしまいます。
ベンゾジアゼピン系の精神安定剤は、不安を和らげる作用があり、睡眠補助薬としてよく使われています。コカインやスピードなどの薬物による失望感を解消するために精神安定剤を使う薬物使用者も多いです。日常的に使用するようになると、身体はすぐに慣れてしまい、同じ効果を得ようとしてより大量に使用するようになり、中毒化することがあります。効果がきれると気分が悪くなったり、不安感におそわれ、急に使用を中止すると、はげしいけいれんを引き起こすこともあるので、依存から抜け出すことをさらに難しくさせます。
アルコールや薬物のなかには、非常に強烈な快感をもたらすものがあります。いちどその魅惑にとりつかれてしまうと忘れることはできず、乱用に走らせ、日常の生活をどんどん壊してしまうこともあるでしょう。また、脳への影響も著しく、中毒となって精神を病み、使用の刺激が突然現れたりもします。損傷した脳の回復は不可能で、依存からの脱却もきわめて困難です。薬物にはぜったい手を出さないでください。