記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
座っていることが多い生活は、今日では一般的になっています。中でもオフィスで働く人にとって、ほぼ一日中座っている状態が普通になりがちです。しかし、そんなライフスタイルは老化を早めたり重大な病気を引き起こす要因となる可能性があります。座っている時間が長いことで身体に何が起こりうるのかを、この記事で見ていきましょう。
人は長時間動かないでいると、細胞がより速いスピードで衰えていくといわれています。つまり、長い時間座ったままでその間にほとんど身体を動かさないことは、自ずと老化のプロセスを加速させることになってしまうということです。一日あたり10時間座ったままで過ごす人の細胞は、そうでない8歳年上の人の細胞と同じような状態になるかもしれません。
DNAの端にあるテロメアと呼ばれる染色体の小さな一部は、細胞分裂を繰り返すごとに短くなっていきます。そして、テロメアがすべて失われたそのときに人間の寿命は終わりを迎えるという説があります。
靴紐の端についている留め金をイメージすると分かりやすいでしょう。このプラスチック部分は靴紐の端がささくれるのを防ぐ役割がありますが、テロメアもこれと同じことをDNAの端に対して行っていると考えられています。テロメアの縮小速度が早まるにつれ、細胞の老化も加速します。また、太り過ぎや喫煙もテロメアの縮小を加速させる原因となる可能性があると考えられています。
テロメアが短くなることで、細胞の老化だけではなく心血管系の疾患、糖尿病、悪性腫瘍のリスクも高まる可能性があると考えられています。座る時間が圧倒的に長いライフスタイルを続けることは、肥満や生活習慣病を招く原因にもあるため、テロメアの縮小が進行し最悪の場合には人生を短くしてしまう要素を含んでいるといえるでしょう。
ある調査によると、1日10時間以上を座って過ごし、その間に動いたのが30分未満であった女性は、より多く動いた女性らと比べて体内の細胞が実年齢よりもはるかに高い値を示すものとなっていたことがわかりました。ただ、より多く身体的運動をした同年代のグループに比べ座っていた女性たちの細胞はおよそ8歳分も年を取っていたという結果はでましたが、長時間座っている生活自体をやめることができなくても一日に30分以上運動することで老化を減速できることがわかっています。
調査対象となったのはいずれも座っている時間が長いライフスタイルの女性たちですが、一日最低30分以上の身体的運動をした場合には、それによって座って過ごした時間の分のデメリットは補えていたといわれています。
日常生活の中でも取り入れやすい運動法として、次のものがあります。
これらの運動により身体に現れるとされる効果は年齢を問わず大きく、老化防止に役立つことが期待されています。
忙しさや年齢のため本格的にスポーツをすることが難しいという場合でも、休憩中に散歩をする・通勤時には最寄り駅より前で降りて多めに歩く・階の移動には階段を使うなど、少しずつでも良いので意識的に運動する機会をつくって取り組みましょう。
一日の中で自分がどのくらいの時間座っているかを意識しましょう。そして、散歩などの軽いものでも良いので、積極的に運動を取り入れることがおすすめです。