記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生理のトラブルとしては不正出血やPMS(月経前症候群)などが有名ですよね。
「ホルモンやストレスの影響だから仕方がないこと」と考えがちですが、実は原因となっているのはそれだけではありません。
そこで今回は、生理トラブルを引き起こす要因を食事という観点から見ていきましょう。
生理に関する代表的なトラブルのひとつにPMSがあります。
生理トラブルは肉体的・精神的な変化を含み、肉体的には腹部の膨満、乳房の圧痛、頭痛などが起こり、精神面では機嫌が悪くなったり、楽しくなくなったりといった、普段と異なる気持ちの変化が見られる原因です。
月経前症候群の原因は完全に解明されたわけではありませんが、ホルモンの値と脳内物質の変動がその原因ではないかと言われており、その要因として女性が飲食するものが挙げられています。
月経前症候群における栄養の役割を研究していた、マサチューセッツ大学の疫学准教授、エリザベス・ベルトン・ジョンソンは「食事が月経前症候群の発生や症状の悪化に関連している証拠がある」と語っています。
以下の文章では、食事面で注意すべきポイントをご紹介します。
食事を抜くと血糖値が急激に下がり、更に気分が落ち込みやすくなったりイライラしやすくなったりするなど、症状を悪化させる原因になってしまいます。
このような理由から生理前はダイエットにも不向きだと言えるでしょう。
「生理前は甘いものが食べたくなる・・・」
月経を経験しているならば、一度はそのように感じたことがあるのではないでしょうか?
実は、糖分を求めてしまうのには理由があります。
それは、“セロトニン”と呼ばれる脳内物質が減少するからです。
セロトニンをうまく作るためには炭水化物が必要なため、セロトニンが不足すると炭水化物を摂るように(つまりカロリーを摂取するように)脳は体に働きかけます。
ある研究では、月経前症候群のある女性は1日に200~500キロカロリー程の余分なカロリーを炭水化物、お菓子から摂っていることが研究で明らかになっています。
セロトニン値を上げるためには、砂糖の代わりに全粒穀物を摂ることがおすすめです。
症状が出てから食事を調整するよりも、1ヵ月を通して調整をしたほうが月経前症候群の改善に効果があります。
毎日の食事で、食物繊維が豊富な果物・野菜や玄米・オートミール・ライ麦パンなどの全粒穀物を多く摂りましょう。
また、最近の研究では女性がチアミン(ビタミンB1)とリボフラビン(ビタミンB2)を多く摂取すると月経前症候群のリスクを大きく下げる効果があることが報告されています。これらを多く含む食品や栄養強化されているパンやシリアルを上手に取り入れ、ビタミンB群を多く摂るようにしましょう。
豆類、生鮮果物、ドライフルーツ、卵、全粒穀物、栄養素が強化されている昼食用シリアル、レバーなど。
牛乳、卵、栄養強化された朝食用シリアル、米など。
健康的な食事を摂るように促す以外には、サプリメントを組み合わせることによって月経前症候群を軽減する方法があります。マルチビタミン1日分、ビタミンB6を100mg、そして酸化マグネシウムを400mg。
この量のビタミンB6群を摂取すると、気持ちを明るくすることができます。
また、マグネシウムはむくみの緩和に役立ちます。
サプリメント服用については、他の薬との薬物相互作用を避けるために医師に相談しましょう。
いかがでしたか?
生理トラブルが起こる原因を知れば、それに対処することができます。
ホルモンやストレスなど、コントロールすることが難しい要因も確かにありますが、食事内容のように比較的容易に見直せるものもあるのです。上記に挙げた方法などを取り入れ、少しずつ症状を改善していきましょう。