記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病は治療しないと、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があります。 さらに高血糖は、血管、神経および器官に損傷を与えることがあります。
症状を起こさないほど軽度な血糖値の上昇でも、長期的には有害な影響がでることがあります。そうした様々なリスクを避けるために、ここでは1型糖尿病の人が生活を送るうえで気をつけたいことを解説していきます。
糖尿病になっている場合、健康的でバランスの取れた食事はとても重要です。といっても、あれこれ食べてはいけないという制限をする必要はありません。
規則正しく健康的な食生活をおくれば、いろんな食べ物を楽しむことができます。ただし、砂糖や高脂肪食を食事から完全に排除する必要はありませんが、制限する必要はあるので、調理時に、脂肪や食塩、砂糖を減らしたり、繊維の量を増やすなどして、適応させることができます。
糖尿病管理の上で特に重要なのは、規則正しく食べ、パスタなどのデンプン質の炭水化物だけでなく、多くの果物や野菜を食べるようにしてください。
食生活のバランスが取れていれば、健康かつ正常な体重を維持できるはずです。
身体を動かすと血糖値が下がるので、糖尿病であれば定期的に運動することがとても重要です。ほかの人と同様に、毎週、サイクリングや速足で歩くなど、中強度の有酸素運動を少なくとも150分(2時間30分)することを目指しましょう。
ですが、こうした新しい活動を始める前に、糖尿病ケアチームにまず相談してください。運動は血糖値に影響を与えるため、血糖値を安定させるためにインスリン治療または食事療法を調整しなければならないからです。
糖尿病の場合、喫煙による心臓発作や脳卒中などの心臓血管疾患を発症するリスクがとても高まります。 これと同時に、喫煙はまた、肺がんなどのほかの多くの重大な喫煙に関連する病気のリスクを増加させます。
糖尿病の人は、1日に推奨されている量を超える飲酒を避けましょう。そして絶対に、空腹時にアルコールを飲まないでください。
飲む量に応じて、アルコールは高血糖または低血糖を引き起こすことがあります。飲酒することは、インスリン治療や血糖値測定にも影響することがありますので、あまり飲まないように注意してください。
長期的な症状がある人は、インフルエンザを予防するために毎年秋に予防接種をするよう勧められます。肺炎球菌性肺炎と呼ばれる重篤な胸部感染症を予防する肺炎球菌ワクチン接種も推奨されています。
糖尿病になっていると、足の潰瘍(かいよう)や軽度の傷や感染など、足に問題が生じる危険性が高くなります。これは、糖尿病が足の血液循環不良と関連しており、血糖が神経を傷つける可能性があるためです。
糖尿病の約10人に1人が足の潰瘍を発症し、潰瘍は深刻な感染を引き起こす可能性があります。
こうした足の問題を防ぐために、普段から爪を短くし、ぬるま湯で足を毎日洗ってください。そして、サイズの合った靴を着用し、早めに問題を発見できるように、定期的に足のケアの専門家のところに行ってください。
足の神経が傷ついている場合には水疱や傷に気づかないこともあるので、定期的に爪を切ったり足をチェックするようにしましょう。
血行不良や神経障害が検出された場合は、毎日足を確認し、医者、看護師、または足病の専門家に変化を報告してください。
1型糖尿病がある場合は、糖尿病性網膜症の有無を確認するために、年1回、目の検査をするようにしましょう。
糖尿病性網膜症は、目の細い血管が損傷する状態です。長い期間の糖尿病によって血糖値が高すぎると起こります。治療しないで放置していると、網膜症は最終的に失明につながる可能性があるので注意しましょう。
糖尿病にかかっていて出産を考えている場合は、糖尿病ケアチームと相談することをお勧めします。
先天性欠損症のリスクを減らすためには、特に妊娠前と妊娠8週目までに血糖値を厳密に管理する必要があります。
そのほかに、次のことを行ってください。
・薬をチェックする
2型糖尿病を治療するために使用されるいくつかの錠剤は赤ちゃんに害を与える可能性があるので、インスリン注射に切り替える必要があります。
・より多くの葉酸錠剤を服用する
葉酸は赤ちゃんが脊髄の問題を発症するのを防ぐのに役立ちます。糖尿病の女性には、毎日5mgを服用するように勧められています(処方箋でのみ入手可能)。
・目の検査をする
目の血管に影響を与える網膜症は、糖尿病のすべての人が抱えるリスクです。妊娠は目の小さな血管に余分な圧力をかける可能性があるので、妊娠する前に網膜症を治療することが大切ですよ。
糖尿病をコントロールするための「シックデイ・ルール」というものがあります。
個人によって対処の方法は異なりますが、シックデイ・ルールに含まれる一般的な対処方法には、次のようなものがあります。
・インスリンを服用し続ける
病気のときに治療を続けることは非常に重要なことです。治療計画は一時的に投与量を増やす必要があるかどうかを示してくれます 。
・血糖値を通常よりも頻繁に検査する
少なくとも1日4回血糖値を検査することをお勧めします 。
・水分をしっかりとる
砂糖の入っていない飲み物をたくさんとるようにしてください 。
・食事をする。
体調が良い場合は固形の食べ物を食べてましょう。より摂取しやすいものとして、牛乳、スープ、ヨーグルトなどの液体炭水化物があります。
・血糖値が高い場合はケトンレベルをチェックする
インスリンを摂取した後も血糖値またはケトンレベルが高いままであったり、次のような場合は、糖尿病ケアチームにアドバイスを求めてください。
1.治療法を変更するべきかわからない
2.糖尿病性ケトアシドーシスの症状がある
3.他に気になる点がある
1型糖尿病がある場合は、普段の生活に気をつけて健康的な生活をおくるようにしましょう。
それでも合併症があったりするときは、医者や専門家の支援を受けて、自分の健康を守ることが重要です。