記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/4/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢をした後、ふと見てみると血が混ざっていた・・・そんな血便の原因としては、何が考えられるのでしょうか?子供の血便についても併せて解説していきます。
下痢に血が混ざっており、腹痛を伴う場合、原因としては以下のものが考えられます。
ウイルスや細菌が付着した食べ物を摂取したことで腸内で炎症が起こり、出血して血の混じった下痢が出ることがあります。多くの場合、熱や腹痛、嘔吐を伴います。血便を引き起こす主な細菌としてはO-157やカンピロバクター、サルモネラ菌などがあります。
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍・ただれができることで、下痢や血便、腹痛を繰り返す難病です。免疫システムの異常が原因と考えられていますが、詳しい理由はわかっていません。初期症状として、上記の他に発熱が見られることも多いです。30代以下の若い人の発症率が高く、近年患者数も増加傾向にあるので、1週間以上血の混じった下痢が出ている場合は消化器内科を受診しましょう。
消化管に異常な血管があり、ここから出血するもので高齢者に多い症状です。痛みのない出血の原因の一つです。
盲腸、上行・横行・下行・S字結腸にできたがんです。盲腸や上行結腸付近のがんの場合、赤黒い便が出ます。もう少し肛門側にできたがんの場合は、部分的に血が混ざっており、S字結腸付近でできたがんでは鮮血に近い色の便が出ます。
初期の大腸がんは、早期に発見すれば比較的簡単に治癒が期待できます。高齢で出血が続く場合はがんの初期症状である可能性も高いので、すぐ病院を受診しましょう。
肛門に近いところで出血するため、鮮血で出る場合が多いです。ただ、直腸がんの場合は血便が出ている段階ではすでにがんが進行しており、下痢や便秘、腹痛、便が細くなるといった症状を伴うのも特徴です。
肛門内、もしくはその周辺の血管が腫れた状態です。排便時に出血することがあり、便やトイレットペーパーに鮮やかな赤い血の線が残ります。痔核は肛門周辺のかゆみが伴うケースもあります。
肛門の皮膚が小さく裂ける症状で、肌が敏感になり痛みを伴うこともあります。血はたいてい鮮やかな赤色で、出血はすぐに止まります。腸が空っぽなのに、残便感が残ることもあります。
肛門管または直腸として知られる腸の終わりと、肛門付近の皮膚との間に、小さな通路ができる症状です。多くの場合痛みを感じ、排便時に出血を伴います。
子供の下痢に血が混じっている場合、最も多い原因は切れ痔による出血で、赤ちゃんのオムツ替えの時に見られる糸くずのような血便の場合も、基本的には心配はいりません。
しかし、下痢便が生臭くどろっとしており、血や粘液が混ざっている場合は細菌性下痢を起こしている可能性があります。特に白っぽい便はウイルス性のことが多く、カンピロバクター腸炎では比較的よく血便が見られます。細菌性下痢以外に、食物アレルギーでも同様の特徴が見られることがあります。
また、いちごジャム状のどろっとした血便は腸重積の可能性があります。腸重積とは、腸管の一部が後ろの腸管に引き込まれ、重なってしまう病変のことで、0〜2歳の乳幼児に多く見られる病気の一種です。これらの危険なタイプの血便が見られたら、すぐに小児科を受診してください。
下痢に血が混じっている場合は、先述のようにさまざまな疾患が考えられます。その中にはすぐに検査が必要な疾患も含まれます。血液が下痢に混じっていたり、以下の症状が見られる場合はお早めに医療機関を受診されることをお勧めします。
・タールのようなどす黒く、ひどい臭いがする便
・粘液が便と一緒に、あるいは便とは関係なく出る
・下腹部の痛み
・直腸の痛み、もしくは痛みを伴う少量の排便が頻繁にある
・発熱
・脱水症状
下痢の中の血は痔によるもののケースが多く、その場合はそこまで心配はいりません。しかし、血が混じった下痢の原因は多岐にわたり、場合によっては大腸がんのような重大な病気のサインのこともあります。1週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診してください。